マイベストプロ大阪
高塚哲治

欠陥住宅問題を解決し良質な建築の創造へ導く一級建築士

高塚哲治(たかつかてつじ) / 建築家

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

コラム

「東京都庭園美術館」再開

2014年12月19日 公開 / 2020年12月28日更新

テーマ:名建築/迷建築

コラムカテゴリ:住宅・建物

 鉄筋コンクリート造地上2階/地下1階建てで1933年(昭和8年)に完成した「旧朝香宮邸」です。
当時流行した「アール・デコ様式」の粋を尽くした瀟洒な建築物であり、東京都の「有形文化財」に指定されています。 設計したのは「宮内省内匠寮」で、担当技師は「権藤要吉」といいます。
 大広間/大客室/大食堂などの主要な部屋の内装デザインは「フランス」のインテリアデザイナーである「アンリ・ラパン」が担当し、正面玄関にある女神像のガラスレのリーフや大広間などのシャンデリアは「フランス」の宝飾デザイナーでガラス工芸家でもあった「ルネ・ラリック」の作品であるといいます。
 1階には主に大広間/大客室/大食堂などの公的スペースが配され、2階には寝室など宮家の私室が並び、3階には「ウィンターガーデン」(温室)が配置、通常の展示では全体の半分ほどが展示室として公開されています。
 軍事研究のため欧州に留学していた「朝香宮鳩彦王」は、1923年に「パリ」郊外で自動車事故のために重傷を負い、看病のため「允子妃」が急遽渡仏し、夫妻は「フランス」に長期滞在を余儀なくされたといいます。
 夫妻は1925年の「パリ万国博覧会」(通称「アール・デコ博覧会」)を見学し、「ラパン」や「ラリック」の作品に接して感銘を受けたようで、帰国後に「アール・デコの館」と称される邸宅を建てるきっかけとなったそうです。
 19世紀末から20世紀初頭にかけて、欧州で流行した「アール・ヌーヴォー様式」(有機的形態と曲線文様を特色とする)に対し、大量生産と工業化の時代に対応した、従来の伝統にとらわれない新しいデザインをめざしたものが「アール・デコ」です。
 「朝香宮邸」では、壁面のデザイン/照明器具/扉を装飾するエッチング・ガラス/ラジエターのグリルなど、至るところに「アール・デコ」のデザインが見られます。








(2014.12.11:讀賣新聞)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

この記事を書いたプロ

高塚哲治

欠陥住宅問題を解決し良質な建築の創造へ導く一級建築士

高塚哲治(タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の住宅・建物
  4. 大阪の注文住宅・住宅設計
  5. 高塚哲治
  6. コラム一覧
  7. 「東京都庭園美術館」再開

© My Best Pro