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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

赤字や低利益のスーパーマーケットが『一番に取るべき行動』とは  コンサルティングの実践事例から

2023年4月24日

テーマ:スーパーマーケットの経営戦略

コラムカテゴリ:ビジネス

先日、新規クライアントの初回コンサルティングの日でした。
高速バスと車を乗り継ぎ、片道約3時間半、往復7時間ほどの移動時間を要します。

到着したバス停からは、クライアントの専務の車に乗り継いで40分程度。
道中色々な話を伺い、お互いのコミュニケーションを深めること共に、仕事の話も二人きりで出来る貴重な移動時間になりました。


1.とにかく相談するという重要なリーダーの行動

赤字または、低利益が続いているスーパーマーケット企業の問題点と改善策は、意外と簡単なところに有ったりします。

しかし、社内の人員で考えていても、効果的な改善策は見付けにくいものです。
それどころか、改善活動(らしき)ことを遣ってみても、これといった成果が得られない場合も少なくなく、チームのモチベーションは下がる一方です。

今回、コンサルティングの依頼をして頂いたのは、私のYouTubeを視聴していただいたことでした。
動画を見ていて、「この人なら遣ってくれる」と感じたと言います。
視聴後すぐにメールで連絡をしていただき、その後、電話で連絡をいただきました。

直ぐに具体的な相談の話がありましたが、現場を見させていただいて、お悩みを聞く方が、私の理解度も深まり、お互いの時間を有効に使えるので、基本的には直接訪問してお話を伺う様に努めています。
ですから、初回のコンサルティングなのですが、私は、今回二回目の訪問になます。

・営業利益は赤字を続けているということ
・売上が徐々に低下していること
・社員の数が少なくなって、各店舗とも少ない人員で業務をこなしているとのこと
そして、
・販売方法など今までのやり方が、お客の支持を得られていないのではないか
など大小多くの問題をお話しいただき聞き取ります。

そして、この企業も例外ではなく、
・スーパーやドラッグストアの進出によって商圏内のシェアが確実に低下していること
・商圏人口は年々確実に減少して高齢化も進んでいること
など、外部要因も地方のスーパーマーケットが抱える問題で、中長期的にはさらに厳しさを増しています。

2.親子関係と経営に対しての考え方のギャップ

本部に向かう途中、支店によって店舗を視察することになりました。
この日ちょうど社長が臨店されていて、お話を伺うことができました。
挨拶を早々に済ませると、社長は、今まで自分がやってきたこと。これからやろうとしていることなど話してくれました。
そして、息子である専務は、社長の話に対して、「今やっている方法を変えないと経営が行き詰まる」という話をされました。
その点については、社長も専務も一致しています。

そして、この地域のお客様に対して、良い店に作り変えていきたい。
大手のできない商品やサービスを提供していかなければならない。
ということも一致しています。
話を続けていても、なかなか社長と専務の意見が折り合わない部分も多々あります。
しかし、たった15分か20分程度のことでしたが、非常に貴重な時間を取ることができました。

初対面と思えないほど、いろいろな話をしてくれた社長に対しても、感謝するとともに、このことによって、
・社長と専務の考え方の違う部分が多いこと
・「前向きに考えて良い会社に、良いお店にしたい」ということは一致している
・社長は、専務に任せなければと感じている様子
ということが確認できました。

ただ、どちらにしても、今まで成功したやり方を続けていて、業績を改善するためには何かを変えていかないと、いけないということです。


3.こちらの視点とお客の視点のギャップと業績の低迷

本部店舗の売場で、売場づくり、品揃え、レイアウトなど、幾つかのポイントを確認した後、全体会議で説明会に入りました。
全員の前で、専務が会社の実情と自分の考え方を伝えました。
その後、創業者である社長が簡単に挨拶をされました。

そして私の番です。
簡単な自己紹介で、スーパーマーケットの業務改善のコンサルタントをしといてしていることを伝えました。
そして、
「皆さんに、大変なこと、しんどい事をしてもらうとか言うことではありません」
「現場のムダを無くして、もっと仕事を簡単に楽に早くできる様にしましょう」
「お客様に、面白い、楽しい、美味しいを体感してもらえるお店にしましょう」
など、コンサルティングの旨と考え方を伝えました。

そしてその後、
・視察した競合店のこと
・自店の売場を見させていただいた(顧客目線の)感想
などを簡単に説明して本題に入りました。
・具体的にはどうやって売上や利益を上げていくのか
・またその方法があるということ
・データを情報に変えれば改善課題を発見する方法があること
・パート社員の力を発揮してもらう方法があること
・実績数値の意味と考え方と使い方
そして、
・部門別損益の考え方と戦略的な使い方
などを、事例の写真や帳票などを見せながら伝えました。

どちらにしても、やっていかないといけないことは、
・今までのやり方が、こちらの都合に偏ってきているということ
・基本的には商品(売る側)の目線で見ていること
・それをお客さんの目線に変えていかないといけないと
そして、
・そこから考えて行動を起こしていくこと
・今やっていることの良い点を伸ばすこと
・お客様目線から離れた行動に関しては、お互いに変えていくということ

そして重要なことは、
上司と部下、コンサルタントの間で意見の相違が起きた場合、ルールとして、
「お客様は、どちらが良いか?」を考えて行動するということ。
これが一番、行動のムダを少なくして、生産性が高い結果を生むということを伝えました。

何より、私も含めたチームとして、いかにお客様の視点で持って、本当にお客様のことを考え、喜ばれる行動をすることを伝えました。


4.出してきた成果と出せる成果の違い

私は、会議に参加した全員が、真面目で前向きであることを強く感じて、今後の改善活動とその成果に大いに期待することとなりました。

実際売り場を見ていても、技術的な面では課題も多いのですが、整理整頓して陳列されている様子や、総菜などの商品一つひとつが綺麗で、大事に作られていて技術面の高さも感じ取ることが出来ます。

そして、何人かに簡単な質問をしてみると的確に答えてくれます。
私は今まで、何百社という会社を訪問してきた経験から、対面した社長や幹部社員、現場のチーフなど、性格や考えていることを読み取ることができます。
もちろん全てでないのですが、大まかな判断はできます。

一つ言えることは、このメンバーが今出している成果と、これから彼らが出す(であろう)成果には、大きな差があるということです。

今まで、会社の方針や自分たちが持っている経験や知識、そして技能を生かして売場を作っています。
これからは、ターゲットやペルソナ(来てもらいたい顧客)を明確にして、顧客のベネフィット(ご利益)を提供することを行動の指針とすることです。
そして、顧客の視点で考えて行動することを一人一人伝えて行きます。

これから、コンセプト、マーケティングなどの基本原則や、色々な知識をさらに高めてもらいます。
それが理解できれば、行動が変わり、確実に大きな成果に繋がります。

どこの会社でも一緒で、自社以外からの情報や知識を得ることをやっていなければ、そして何と言っても、基礎的な勉強をあまりしなければ、どうしても行動が偏ってしまい、得られる成果も大きくなりません。

しかし、このチームには真剣さが感じられますし、素直さが感じられます。
これは、仕事をする上で、また、成長する上で非常に重要なことです。

5.銀行との関係づくりと改善計画

全体会議の前、銀行との面談を行いました。
メインバンクの支店長とおそらく本店から出向であると思う担当者二人の方が来ていました。専務と私を加えた4人で面談です。

銀行の支店長と担当の方からは、今後のコンサルティングの内容と改善計画についての質問が有りました。
そして、特に今後5年間の事業計画を書面にして欲しいということです。

私自身は、事業計画書作成自体がコンサルティングの目標でも目的でもありません。
私の目的は、この会社の業績を向上させることです。
そして、みんなに生き生きと仕事をしてもらうことです。
また何と言っても、来店していただけるお客様に満足していただき、その頻度を増やしてもらうことです。
私は簡単にそのようなことの説明をし、具体的に今日から進めていくことを説明しました。

銀行のお二人は、ある程度納得していただいたようでしたし、それから実際の事業計画については約半年後にプロセスを実行した成果として、またその上で想定される改善結果について、計画書を策定することを約束しました。

余談ですが、訪問する前に銀行から「コンサルティングを紹介する」という話があって、実際には数回訪問されて面談したらしいのです。
しかし、全く納得いけるような内容ではないし、年間多額のコンサルティング料が発生するということでした。

この記事を読んでいただいている読者の皆さんに、覚えていただければ良いと思いますが、地銀などは今、経営的に非常に厳しい状況になっていると思います。
そのために、今までの銀行業務以外で利益を生むなことを考えなければなりません。
この銀行も例外ではなく、外資系のコンサルティング会社とコンサルティング会社を設立しているということです。

しかし、気を付けないといけないことは、「お金を借りている弱みはあっても、単純に受けることを考えてはいけない」ということです。
スーパーの現場を改善できるということは、ほぼできません。
理論的なことや各種フレームワークを駆使して、計画書を作ることもは出来ると思いますが、実際には何も機能しないし、何と言っても時間と多額の資金を無駄に使うだけということになってしまいます。(全てではありませんが)


6.遣るべきことと止めるべきこと

私は業務改善の重要なポイントとして、「遣るべきこと」と「止めるべきこと」ということを色々な会社や組織に対して説明しています。

順番がどちらかということも重要です。
鶏が先か卵が先か的なことですが、多くの場合、「止めるべきこと」を優先してやって、ムダを先に無くした方が成功の確率を高くすることが出来ます。

それは、なぜかと言うと、赤字や利益が低く、思う様な良い結果を出せていない会社は、必要でないことを毎日毎日、全員で頑張っているのです。
しかし、それはお客様の満足やリピーターに繋がっているかというと、決してそうではない場合が多く、お客の視点(満足)自体が分かっていない場合が多くあります。

遣るべきこととは、「お客様の満足」や「お客様の期待値を超える」ことに繋がる行動をすることです。その機会を増やすことです。

それと、会社も組織も、そして個人も、時間は有限です。
ですから、本当にムダなことを止めて、時間とお金に余裕を持つことが重要なのです。
そのことによって、時間とお金を戦略的に使うことが可能となります。

そもそも、成長している会社は、遣るべきことを日々確実に実行しているのです。


あなたの会社はどうでしょうか?
『止めるべきこと』が分かっているでしょうか?
そして、それに努力し行動しているでしょうか?
『遣るべきこと』をやっているでしょうか?


今回ご紹介したような企業は、日本全国にたくさんあると思います。
私もこれまで、本当に色々な企業と一緒に仕事をさせていただいて来て、教科書では学べない多くのことを知る機会をいただいています。
どうか、悩みを持っている経営者の方は、誰かに聞く(質問する)という行動を起こしてください。
順調に業績を上げている会社の社長や、実績のある専門のコンサルタントなどに、先ずは相談することが、リーダーの取るべき行動だと思います。


サミットリテリングセンターでは、実践に役立つ多くの参考記事をホームページからお届けしています。また、YouTubeも解説しています。ご活用いただけましたら幸いです。

そして、無料・相談会も行っています。
・売上と粗利益が徐々に低下している
・コストが上がっているが、改善の方法が浮かばない
・生産性のアップといっても何をしたらいいのか分からない
・従業員教育が必要であることは承知しているが何から手を付けたら良いのか分からない
・今のスタッフで遣って行けるのか
・三年後、五年後の将来に不安を感じる
・銀行から改善報告書の提出を指示されているけど計画が作れない
などなど、お悩みをお聞かせください。解決策は必ずあります。

どうぞ、お気軽にご連絡ください。少しでもお手伝いできることができれば幸いです。重ねてよろしくお願いいたします。


サミットリテイリングセンターでは、『無料』のカウンセリングを実施しています。 売込みなどは有りませんので、お気軽にご連絡ください。

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新谷の「我が使命:Mission」は、
「より良い方法を教えて、人々の人生を豊かにする」ことです。


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