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コラム
所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み
2023年4月30日
法務大臣の諮問に応じて、現在、法制審議会区分所有法制部会において「区分所有法」の見直しが行われています。第7回目の部会が本年4月11日に開催され、次の議題について検討されました。
1.区分所有建物の管理の円滑化に係る方策
2.区分所有建物の再生の円滑化に係る方策(建替え等)
3.区分所有建物の管理の円滑化に係る方策(集会決議の円滑化、財産管理制度等)
3の「集会決議の円滑化等」について、少し内容を整理してみましたので、2回に分けてお話させていただきます。
今回は、まず「所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み」についてです。
建替え決議等が円滑にできるように、所在等が不明な区分所有者(以下「所在等不明区分所有者」と言います。)を集会決議の母数から除外することが検討されてきましたが、ようやく内容が纏まってきたようです。
所在等不明区分所有者を除外する方法については、裁判所に申請し除外決定を受ける必要があります。申請できるのは、管理者又は理事(たぶん管理組合法人における理事)と所在等不明区分所有者以外の区分所有者ですが、ほとんど管理者と理事が申請すると思われます。除外決定されれば、除外決定を受けた区分所有者には総会の招集通知をする必要がなくなります。したがって、区分所有法第35条に次の内容の条文を追加するとのことです。
「集会の招集の通知は、所在等不明区分所有者の除外決定を受けた区分所有者には発することを要しない。」
また、不在者財産管理人や相続財産清算人、また所有者不明専有部分管理人等(以下「不在者財産管理人等」と言います。)が選任されたときの、除外決定や決定取消についても触れられています。
所在等不明区分所有者の除外決定がされた後に、不在者財産管理人等が選定されたとしても、除外決定が取り消されるまでは、所在等不明区分所有者は決議から除外されます。したがって不在者財産管理人等が所在等不明区分所有者に代わって議決権を行使する場合には、除外決定を取り消す必要があります。
なお、所在等不明区分所有者の除外決定の対象となる決議は、区分所有権の処分を伴うものを含む全ての決議とすることを想定しており、区分所有権の処分を伴わない決議については、次回で説明する基本的仕組みで対応するとのことで、所在等不明区分所有者に対しても総会の招集通知の手続きは省略できず今まで通りです。次回は、「出席者の多数決による決議を可能とする仕組み」について説明したいと思います。
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