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小堀將三

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小堀將三(こぼりしょうぞう) / マンション管理士

マンション管理士事務所JU

コラム

区分所有法改正議論を法制審議会に諮問

2022年9月16日

テーマ:管理規約・法律関連

コラムカテゴリ:住宅・建物

 葉梨康弘法務大臣が閣議後記者会見で、区分所有法の法改正に向けての議論を法制審議会に諮問することを明らかにしたことをお伝えしましたが、12日に、区分所有法改正などの検討を法制審議会(会長・井田良中央大大学院教授)に諮問(第百二十四号)しました。6月7日に閣議決定された「規制改革実施計画」を受けた形で、今後は「区分所有法制研究会」で引き続き議論が重ねられ本年度中に取りまとめられる予定です。

≪諮問第百二十四号≫
老朽化した区分所有建物の増加等の近年の社会情勢に鑑み、区分所有建物の管理の円滑化及び建替えの実施を始めとする区分所有建物の再生の円滑化を図るとともに、今後想定される大規模な災害に備え、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物の再生の円滑化を図る等の観点から、区分所有法制の見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい。

 区分所有建物の管理・再生の円滑化、被災建物の再生の円滑化に向けた区分所有法制の見直しが喫緊の課題として、以下の内容で検討されます。

◎区分所有建物の管理の円滑化を図る方策
・集会の決議一般を円滑化するための仕組み
・共用部分の変更決議を円滑化するための仕組み
・区分所有建物の管理に特化した財産管理制度
・その他の管理の円滑化に資する仕組み
◎区分所有建物の再生の円滑化を図る方策
・建替えを円滑化するための仕組み
・区分所有関係の解消・再生のための新たな仕組み
・被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策

 詳細はこちらをご覧ください。
   法制審議会第196回会議配布資料

 ちなみに、6月7日に閣議決定された内容は以下のとおりです。

老朽化や被災した区分所 有建物の再生の円滑化に向けた規制改革の推進
a 法務省及び国土交通省は、「区分所有法制研究会」(令和3年3月立上げ)において、引き続き、区分所有法制の見直しに向けた論点整理を進め、令和4年度中できるだけ早期に取りまとめを行い、速やかに法制審議会への諮問などの具体的措置を講ずる。なお、今後の論点整理及び取りまとめに当たっては、以下の①~③の点に留意すること。
①一定の要件を設定して建替え決議割合を引き下げることを検討するに当たっては、平成14年の建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)改正前に規定されていた「費用の過分性要件」が、費用が過分であるか否かの判断が難しいために削除された 経緯があるように、抽象的な要件を設定してしまうと、かえって建替えが円滑に進まないおそれがあることを踏まえること。
②区分所有建物である分譲マンションは、一般に多くの区分所有者が存在することから、 区分所有権は、戸建ての建物所有権とは異なる団体的制約を受け得るものであること。
③決議要件が緩和された場合、確かに、これまでよりも多くの非賛成者に対して、売渡し請求を行い、早期に「売渡し請求に必要な売買代金」を支払う必要が生じるため、「その費用を誰が負担できるか、又はスムーズに資金を確保できるか」などの課題は生じうるが、それはファイナンスの問題に過ぎず、これまでの「決議要件を緩和した場合には、その分だけ買取りの費用負担が重くなるなど、建替えに要する社会的・経済的コストが増大する」という建替え決議要件の緩和のデメリットに関する主張の妥当性については、「社会的・経済的コスト」の意味するところが必ずしも明らかでないことにより解釈の混乱や誤解をもたらすおそれがあるため、改めて検討すること。その際、建替え決議の時点では反対していても、決議成立後に、催告手続などを経て、売渡し請求まで進まずに賛成に回る場合があることから、非賛成者の数と売渡請求対象者の数は必ずしも同一ではない点にも留意すること。
b あわせて、法務省及び国土交通省は、「区 分所有法制研究会」において、以下の①~③ についても論点整理を進め、令和4年度中できるだけ早期に取りまとめを行い、速やかに法制審議会への諮問などの具体的措置を講ずる。
①建替え決議がされた場合でも区分所有建 物の専有部分の賃借権は存続することで、建替え工事の円滑かつ早期の実施を阻害しているとの課題を踏まえ、賃借人への適切な補償の在り方を検討するなど、賃借人の利益保護を図ることを前提にしつつも、建替え決議 がされた場合に専有部分に係る賃貸借契約を円滑に終了させるための仕組みについて論点整理を行うこと。
②共用部分の変更に係る決議の要件の緩 について、区分所有建物の長寿命化の促進にも資するという観点を加味して論点整理を行うこと。
③事業性を見込めないために建替えを行うことができない区分所有建物も存在すると考えられることから、現行法では全員同意が必要な建物及び敷地の一括売却を、一定の多数決で行うことを可能とする仕組みについて論点整理を行うこと。

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