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菊池浩史

「住まい×消費者×教育」のハイブリッドを目指す専門家

菊池浩史(きくちひろし)

住まいの消費者教育研究所

コラム

道路もいろいろ①

2022年12月28日

テーマ:不動産情報の格差解消

コラムカテゴリ:住宅・建物

(暮らしと道路)
道路は私たちの暮らしには欠かせない生活基盤の一つです。自宅から駅や買い物に出かける時や、自動車で外出の際には必ず道路を通行します。そして、殆どの住宅地は道路に接道しており、そうでなければ日常生活は立ちいかなくなることでしょう。

企業が行う経済活動でも同様です。例えば、物流施設を取り上げてみましょう。近年はコロナ渦もあって宅配便などの利用率も増加し、物流施設用地へのニーズは極めて旺盛です。物を効率的に運ぶには道路へのアクセスは絶対条件で、その使い勝手の良さや効率性が一層求められ、その差が土地価格を大きく左右しています。

このように、私たちの生活や企業活動において日常的に利用し、また、殆ど意識することなく、そこから得られる便益や効用を享受しているもの、それが道路です。

(道路の機能・役割)
ここで改めて、道路の機能や役割を考えてみましょう。一つ目は、人々の生命や身体の安全を守る機能です。建物やその周囲で火災や地震などが発生した場合、人々は安全な場所に避難しなければなりません。そのための避難路になるのが道路であり、同時に緊急車輛等の進入路の役割も果たします。つまり、防災上の観点から極めて重要な空間になっています。

二つ目は、既述のように市民生活や企業活動がスムーズに機能するために欠かせない基盤です。また道路の地下空間には、給排水管やガス管などの生活関連施設に加えて、地下鉄の軌道なども敷設されており、インフラの受け皿として重要な役割を担っています。

三つ目は、快適な生活環境の確保です。建物は道路に面することで、日照、通風、眺望などの恩恵を享受でき、それが快適な住環境に繋がっていきます。道路空間がなければ、そのような快適性が失われ、健康で文化的な生活は難しくなるでしょう。

(道路の種類)
普段、私たちが「道路」と呼ぶものは、実に多くの法律を根拠に造られ、維持管理されています。法律によって、道路の定義に違っており、その全てが建築基準法の道路ではありません。

道路法による「道路」
道路交通法による「道路」
道路運送法による「道路」
建築基準法による「道路」
車庫法による「道路」
刑法(往来妨害罪)による「道路」
不動産登記法による「公衆用道路」
固定資産税・都市計画税における公共の用に供する「道路」

一方、現状は通路として利用され、見た目は道路のようですが、実は建築基準法の道路ではないただの道、いわゆる通路扱いのものがあります。

それには、農道・林道・里道、堤防道路、臨港道路などがあります。これらの道の多くは、国・都道府県・市町村などが管理していますが、路線認定を受けていません。但し、路線認定を受けている場合には建築基準法の道路になります。

また、建築基準法が施行された昭和25年11月23日(基準日)以降、私人(公的な地位や立場を持たない一個人、一般人)が築造した幅員4m以上で道路位置指定を受けてない道や、幅員4m未満で基準日のときに建物が立ち並んでいなかった道、基準日以降に私人が造った幅員4m未満の道なども、建築基準法の道路にはあたりません。

以上

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