25 社外取締役を働かせる具体論 その2
指名委員会等設置会社制度の見直しが始まったとのこと
我が国の上場会社が選択できる機関設計は、①従来型の監査役会設置会社(全体の7割近い)、②2003年に導入したアメリカ型指名委員会等設置会社(本日現在全上場会社のうち95社が採用)、それに③2015年に導入した監査等委員会設置会社(3割程度)の3型があるが、我が国の上場会社の多くは指名委員会等設置会社の導入を拒否している。
その理由について、日本経済新聞2024年11月25日付け「スーパー指名委員会」に終止符を 企業統治発展の障害」によれば、指名委員会の権限の強さが恐れられているものとのことである。
すなわち、指名委員会は委員の過半数が社外取締役であること、委員会には取締役解任の権限があることから、経営トップが自家薬籠中の物になった者を社外取締役に選任し指名委員会委員にすると、他の取締役が経営トップ(CEO)に「歯向かえば、簡単に解任されてしまわないか」と心配し、我が身の安全を確保したい心が働き、取締役としての職責が果たせていないのでじゃないかということである。
我が国の指名委員会等設置会社制度の下には、指名委員会が決定した取締役や執行役の選任・解任の人事権は、社外取締役でも覆せない。この指名委員会等設置会社制度の元になった米国では人事の最終決定権は取締役会にあるのに、である。
ことほどさように我が国の指名委員会等設置会社における指名委員会の権限は大きく、オリックスの宮内義彦シニア・チェアマンは書籍「体験的ガバナンス論」でこの委員会を「スーパー委員会」と皮肉交じりに呼んだと、前記日本経済新聞記事は報じている。
かくして我が国の「経済産業省の研究会では、9月から見直し議論が始まった。委員からは指名委員会の権限見直しにとどまらず「機関設計の一本化を念頭に議論すべきだ」との声もあがる。」と同日本経済新聞記事は報じている。今後の立法化に向かう進展状況を見守りたい。