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ロジカルシンキング(論理的思考方法)と哲学の創出

2024年1月29日

テーマ:コーポレートガバナンス改革

コラムカテゴリ:法律関連

ロジカルシンキング(論理的思考方法)と哲学の創出

1.帰納
「結果」を見て「原因」を探る。
因果の流れを、逆に考えるのである。
その場合、「結果」の数が多ければ多いほど、「原因」の探求は容易になる。
例を示したい。
優秀な人材の多いAロータリークラブについてである。

私は、2020年~2021年度(2020年7月1日に始まり2021年6月30日に終える1年間)岡山県、島根県及び鳥取県を包括した国際ロータリー第2690地区のガバナーという役員を務めたとき、地区内にある65のロータリークラブ全部を公式訪問した。

公式訪問では、各ロータリークラブの会長・幹事との懇談会をし、例会で卓話をするのが通例になっている。
Aロータリークラブへも公式訪問をしたので、会長・幹事会をした。

そのときの観察として私が書いたガバナー日記(2020年7月15日付け)には、「このクラブでの会長・幹事懇談会における準備の出来の良さと内容に、驚嘆した。合計8項目にわたる業績の内容が、A4版用紙2枚に、簡潔・具体的・明瞭な言葉でもって書かれている。一読するだけで、その赫々たる業績が手に取るように分かった。」と書いた。この、A4版用紙2枚に文章を書いたのは、当時の幹事であったB氏である。

また、私のガバナー日記には、続けて「本日公式訪問に行った際に頂いたAロータリークラブの週報を開いた。その中に『米山梅吉について その一』と題した一文があった。内容簡明にして文章秀逸。ただ、驚嘆。さすがAロータリークラブだと、感銘強く受ける。」と書いた。

この文章秀逸と私が評価した文章の書き手はC氏である。
ところで、Aロータリークラブに優秀な人材がB氏とC氏の2人がいたというのは「結果」である。
「結果」あるところに「原因」があるのは、当然である。

2 「原因」を知り、原因から結果に至る「因果関係(メカニズム)」を知る
そこで、私は、A氏とB氏という2人の優秀な人材をつくった「原因」は何か?と考えた。
これはAロータリークラブには、若手を教育するシステムを作っていたからではないかと考えた。推測であったが、その推測は当たっていた。
要は、Aロータリークラブは若い会員(ロータリアン)を育てるメカニズムをつくっていたのである。

3 演繹
Aロータリークラブには、2人の若手ロータリアンを養成したメカニズムのあることが分かったので、では2人以外の他のロータリアンはどうであろうかと、具体的な事績を調べると、調べた範囲では全員、一様に優れた成績を残していたことが分かった。
この手法は「演繹」といわれるものである。

4 法則の発見
ここから、Aロータリークラブがしている若手養成の方法論をもってすれば、B氏やC氏のような優秀な人材が生まれるという法則が発見できる。

5 ロジカルシンキング(論理的思考)の意味
以上1から4までの思考のアプローチ、すなわち結果を見てその原因を調べ、他の類似事案も同じ原因によるのではないかと推測してそれを調べる。それにより、そこに法則を発見(帰納)できれば、その法則を他の事例にも適用する(演繹)ことができ、おのずと視点は高くなり、視野は広がり、思考は深くなる。
そこに至るまでの思考方法が、ロジカルシンキング(論理的思考)である。

6 ロジカルシンキング(論理的思考)は、哲学を生み出す。
ロジカルシンキング(論理的思考)が到達する先は、法則の発見、すなわち哲学の創出である。
哲学は、闇夜を照らす一条の光である。

7 哲学は人格となる
確固たる哲学は人格となる。

8 2024年は、哲学の一分野たる法務力を強化する年
コーポレートガバナンス改革が大きく前進した2023年は終わった。
2024年は、より進んだコーポレートガバナンス改革へ邁進する年である。
各企業のビジネスパーソンには、このロジカルシンキング(論理的思考)を強化したうえで、実務に活かして、確固不動の哲学を身に付け、その一分野たる法務力を強化・発展させ、契約実務やM&Aにおける法務DDなど企業法務に精進していただきたく願う。

そこに至ると、クライシスマネジメントも、誤ることはないであろう。
人格が、おのずと、輝くであろうから。
これを本年の祈りとしたい。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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