17 グローバル社会では、観念よりも概念が重要
45 経営者革命とコーポレートガバナンス改革
(1)経営者革命
「経営者革命」というのは、第1次世界大戦と第2次世界大戦の間の、いわゆる戦間期、アメリカの哲学者であり政治思想家であったジェームズ・バーナムによって提唱された経営理論であるとされている。
彼いわく。資本主義社会では企業(株式会社)の支配者は株主であるが、会社が大きくなるにつれて、組織の巨大化、技術の高度化、労使対立の激化などが生じ、会社の経営は専門の経営者でなければできないことになる。その結果、会社の規模が大きくなればなるほど、経営者の力は強くなり、逆に株主の力は弱くなっていく、要は、会社はやがては、経営者が支配するものになっていくであろう、と。
このジェームズ・バーナムの言葉は予言となり、100年経たずして、この予言が現実のものとなった。
すなわち、その後、会社は巨大化するに従い、経営者が会社の支配者になっていったのである。
(2)経営者革命の負の部分
経営者の力が、株主の力をはるかに凌駕するほど大きくなった資本主義社会では、弊害も出てきた。21世紀に入って見られたエンロン(2001年)、ワールドコム(2002年)、リーマンブラザーズ(2008年)など、粉飾決算が露呈し倒産する会社が続出し、株主の利益が害され資本市場が大混乱を来したのである。
これは、経営者革命の負の部分と言いうるであろう。
(3)コーポレートガバナンス改革の要求 → 物言う株主の誕生
そのような中、株主から、経営陣を監督せよ、株主の権利を守らせろ、という声が澎湃として湧き上がった。
これが、コーポレートガバナンス改革の要求であった。
そして、いわゆる物言う株主が誕生したのである。
2023年6月には、3月期決算会社の定時株主総会が、実に多くの上場会社で開かれたが、過去にはなかったような、物言う株主の声高な動きも出てきたのである。