39.自発的社内監査が成功している例あり
10.社外取締役に求められる資質・能力とセレンディピティ
(1)社外取締役の人数
2021年改訂後のCGコードは、上場会社が、独立社外取締役数を選任する人数について、「少なくとも3分の1以上、必要と考える場合には過半数」という指標を設けた。
同年8月2日に東京証券取引所から公表された「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況」によると、東証一部(プライム市場は2022年4月から)上場企業のうち3分の1以上の独立社外取締役を選任する企業が72.8%、JPX日経400企業に限ると87.0%となっているが、一方で、過半数の独立社外取締役を選任する企業は、東証一部上場企業では7.7%、JPX日経400企業でも12.0%にとどまっているとのことである。
(2)社外取締役の職務
ア)社外取締役は、取締役会の一員として取締役会に出席する義務がある。取締役会は、指名委員会等設置会社の場合、執行役を選任する権限、解任できる権限を行使して執行役(そのトップのCEOを含めて)のする経営を監督する職務がある。
経産省の「社外取締役の在り方に関する実務指針 (社外取締役ガイドライン)によれば、「社外取締役の最も重要な役割は、経営監督である。その中核は、経営を担う経営陣(特に社長、CEO)に対する評価とそれに基づく指名再任や報酬の決定を行うことであり、必要な場合は、社長、CEOの交代を主導することも含まれる。」と書かれているところである。
イ)社外取締役は、指名委員会等設置会社の場合、指名委員会、報酬委員会、監査委員会いずれかの委員としての働きが期待されているので、これらの中、最低一つの委員会活動に参加する義務がある。
(3)社外取締役に求められる資質。能力とセレンディピティ
上場会社の社外取締役になると、少なくとも年14回の取締役会(毎月1回の定例取締役会+半期ごとの決算時の取締役会)に出席する義務が課され、3委員会のいずれの委員会に属することになるとこれにも出席する義務が生ずる。例えば、監査委員にでもなれば、定例監査委員会が年数回と、監査法人との最低年4回のレビューに出席する義務も生ずる。
社外取締役が持つ能力には、前記ガイドラインでは、市場の動向、産業構造の変化、経営戦略に関する先見性が重視されている。むろん、多様な人材の集まるところから生まれるセレンディピティ(偶然なことから生まれる大きな発見)も大いに期待されているので、経済人以外の人材も社外取締役にすべきことになっている。