8 物言う株主(アクティビスト)は、正義の使者かCGコードの鬼っ子か?
2.資本主義の資本主義たる所以のもの
資本主義の資本主義たる所以は、不特定多数の投資家から、大量の資金を集め、事業を立ち上げ、かつ、会社を成長・発展せしむるところにある。
日本の資本主義の生みの親とも尊称される渋沢栄一が、フランスに行ったときに目にし、学んだのが、この資本主義の仕組みであり、そこから溢れ出た経済のダイナミズムであった。
爾来、日本も、他の先進国に倣って、資本市場の育成に努力したが、欧米諸国とは、意識のレベルが違っている感がある。
すなわち、資本市場から資金を調達できる会社は、当然、上場会社ということになるが、では現在の日本の上場会社は、資本市場から潤沢な資金を調達し、滄海変じて桑田とするほどの新たな産業を創造しているであろうか?
現在のテスラのような企業や、その以前に起業したGAFAMのような企業群を生み出しているであろうか?
残念ながら、日本の産業の競争力は、現在時点で、実に30年の長きに渡る低成長の時代にあるとされている。
この状況を、著名な経済学者の小宮隆太郎は「亡国の兆し」と表現したほど、憂うべきもののなっているのである。
この日本の産業の30年にわたる低成長の原因は、多々あるのだろうが、その一つに、上場会社のコーポレートガバナンス改革の不徹底を挙げることができるのはないかと考える。
そこで、しばらくの間、この問題についてレポートしたい。。