新しいブドウ酒は新しい革に
二項対立は、アウフヘーベン(止揚)することが肝要
昨日の随想録で、アメリカの企業はロビー活動にお金をかけていること、新たに開発したビジネスモデルが、他国であって法律がないため事業化できない場合は、その他国でもロビー活動をして、事業化を実現している例を紹介した。
一方、日本では、「ロビー活動が利権団体と政治家との癒着・買収の一形態というイメージが強く、有権者からは快く見られない」(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)ため低調のようだ。
ここに、ロビー活動については、
1.ロビー活動には利点がある(米国)。
2.ロビー活動は、癒着・買収の危険がある(日本)
という二項対立の図が描かれている。
二項対立は、二項の内いずれか一項を選択すべきだという考えに陥りやすいが、二項対立はアウフヘーベン(止揚)することが肝要だ。
すなわち、ロビー活動は利点があるのだから積極的に認めるべきだ。
しかし、ロビー活動は、政治家との癒着・買収の危険があるので、リスクの顕在化を極力抑えるような手を打つべきだと思う。
そのためには、ロビー活動法ともいうべき法律をつくり、ロビー活動の範囲を明確に定め、かつ高い透明性と厳格な手続を設け、違反者に対する厳罰規定を置くことにしてはどうか?
聞くところによると、アメリカ法の経済に関する規制法では、違反に対しては実刑(厳罰)をもって臨むようだ。それに対し、日本では、だいたいが罰金か執行猶予付き判決ですましているらしい。
なお、前記フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、日本でも2007年の参議院議員選挙の結果生じた与野党のねじれ現象を契機に、ロビー活動に対する関心が高まり、ロビー活動を専門とする会社も生まれたこと、2008年の韓国通貨危機の際に、李明博韓国大統領から直接指示を受けた権哲賢元駐日大使が、日本の政治家や政府高官などにロビー活動を展開し、スワップ協定を韓国に有利な形で締結させることに成功したことがあったようだ。
また、日本の企業であるメルカリが経済産業省で通商交渉などを担当していた人物をロビイストとして雇用しており、政府に対して自社に有利な政策の提言を行っているとのことも書かれている。
ロビー活動をどう活かすかを、立法論として議論してもいいのではないか。k