二項対立は、アウフヘーベン(止揚)することが肝要
世界が広がる
民事裁判の手続きがIT化されることになった。
2022年5月18日に、それを可能にする改正民事訴訟法が成立したからだ。
時期は、2025年度までに、段階的なものになるが、やがては訴状の提出、口頭弁論、証拠調べなど、現在では裁判所にまで出頭しないとできない事務の大半が、オンラインでできることになるのだから、正にこれ、夢の実現ということになる。
民事裁判が、いかに無駄な時間を費やしてきたか。
新幹線に乗って、長い時間をかけ、東京へまで行き、順番を待って、やっと自分の番がやって来、審理を開始してもらっても、訴状や答弁書は、事前に提出していているのだから、口頭での発言は、「書面に記載したとおりです。」というだけ。
長くても10分程度で終わってしまうことが、多かったのだ。
なお、裁判ではなく、調停も、やがてはオンライン化されると思われる。
調停も、無駄は多い。遠い地にある簡易裁判所まで行き、調停委員と話をする時間よりも何倍もの時間、ただ待合室で待たされるだけということも、多いのだ。
しかしこれからは、裁判に、やがては調停に、その他の法的手続に、オンラインによるものが、平常の姿になるであろう。
そうなると、これからの法律事務所の世界は広がること、請け合いだ。
世界が広がるということは、法律事務所の顧客の層が、一気に、日本全国に広がるということだ。
場所に、また、時間に、制約されないで、仕事ができる。
こんな夢の実現が見られることになったのだ。
要は、世界が広がったのだ。
私は、山陽新聞社が管理運営するサイトである「マイベストプロ」に、これまで3000通を超えるコラム(大半が、法律関連のもの)を書き、公開している関係で、これに多くの読者を得ている。
そのコラム閲覧総数は、1日5000通を超えることも珍しくはない。
そのため、広く日本全国から、コラムに書いた記事その他につき、相談を受けることもある。
また、事件として依頼をしたい旨言われることもある。
しかし、これまでは遺憾ながら、県外からの相談や事件依頼には、一応、丁寧にお断りしているところである。
場所の移動などに時間がかかることが原因だ。
しかしこれからは、民事裁判のオンライン化が実現すると、場所の壁、時間の壁、費用の壁はなくなる。
要は、遠隔地からの相談や事件依頼の困難性という壁は、消失するということだ。
であるから、これからの相談や事件の依頼に、前向きでお応えしようと思っている。
さて、どんな世界が出現するのか。楽しみだ。
ちなみに、株式総会については、2021年6月16日に公布・施行された産業競争力強化法の改正法で、上場会社に限って、バーチャルオンリー株主総会(全面的なオンライン株主総会)が、可能になっている。
なお、産業協力強化法については、次の機会に解説することにしよう。