使用者のための労働問題 就業規則を変更したときの附則の書き方
最高裁判所第一小法廷平成27年2月26日判決は、会社の課長補佐男性2人が、複数回にわたって、女性従業員2名に対し、卑猥な言葉を用いて話しかける行為を繰り返したことが、懲戒理由になるとして、会社がこの2人の従業員を懲戒処分である出勤停止処分にし、かつ、この男性2名に対し、懲戒処分を受けたことを理由に、下位の等級に降格させたことをいずれも有効だと判示しました。
なお、この会社は、従業員の6割が女性の会社で、職場におけるセクハラの防止を重要課題として位置付け,セクハラの防止等に関する研修への毎年の参加を全従業員に義務付け、「セクシュアルハラスメントは許しません!!」と題する文書を作成して従業員に配布すると同時に職場にも掲示していた会社でした。
懲戒処分にした根拠は、①会社の就業規則に,従業員の禁止行為の一つとして「会社の秩序又は職場規律を乱すこと、が掲げられていたこと、②禁止行為の一つであるセクハラ禁止文書には,禁止行為として「性的な冗談,からかい,質問、その他,他人に不快感を与える性的な言動」、身体への不必要な接触、性的な言動により社員等の就業意欲を低下させ,能力発揮を阻害する行為」等が列挙されていたこと、それに③会社は禁止行為をした従業員には懲戒処分を科すと書かれていたこと、
懲戒処分とは別に、降格処分にした根拠は、「従業員が会社の就業規則などに定める服務規律にしばしば違反したとき等に該当する行為をした場合は,会社の判断によって減給又は出勤停止に処すると規定されていたこと」を取り上げています。
すなわち、懲戒処分は、セクハラ行為をしたことに対する制裁。
降格処分は、セクハラをするような従業員は、資質・能力に欠けるので、従前のポストに置いておけないということでしょうか。