ロータリー3 職業倫理の乱れあり
20世紀最大の人物の一人とされる、ウインストン・チャーチル(第二次世界大戦のときの英国の首相)は、「私は、光り出すまで言葉を磨いた。」という言葉を残しています。では、「言葉を磨く」とはどういうことかといいますと、チャーチルの場合、映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」の中の、1 言葉を推敲(すいこう)しながら原稿を秘書にタイプで打たせては、それを直していく姿に見られます。この映画の中で、チャーチルは、 2 国会(下院)での演説のための原稿を書いていたとき、古代ローマ時代の哲学者キケロの言葉を思い出し、それを自分の文章の中に引用するため書斎に飛び込み、キケロの著書を探す場面がありますが、その姿勢に見られます。また、3 彼がイギリスの全国民に向けた、ラジオを通しての語りかけ(演説)をするのに、事前に準備していた原稿を、なお直している姿に見られます。4 ラジオ開始まで1分を切ってもまだ文章を直している姿を見て、アナウンサーが「スピーチの開始までもう時間はありません。」と注意をすると、チャーチルは「わかっている」と不愉快そうに言い、なお原稿を直している姿に見られます。5 次ページ(明日書くコラムの中)の言葉の1行目の英文は、チャーチルが書いた名文の一つです。このような名文を数多く残した事績(じせき)の中に見られます。そして、彼は、6 第二次世界大戦が終わった後、随想録「第二次世界大戦」を書き、それでノーベル文学賞を受賞していますが、その事実の中に見られます。なお、ウインストン・チャーチルがノーベル文学賞を受賞した理由は「歴史的で伝記的な文章で見せた卓越(たくえつ)した描写と、高邁(こうまい)な人間の価値を擁護(ようご)する卓越した雄弁術」というものです。彼は、そのように評価されるほど演説が卓越していましたが、7 この演説(明日のコラムにその一部を引用しています)は、言葉磨きの成果ですので、その事実からも、言葉を磨くことの意味が分かるはずです。言葉を磨くことは、人として、特に現在を生きる人として、大切にすべきことと思います。