2020/11/09 鳥取中央RC公式訪問記
2021/06/16 東芝を追い詰めた、利剣
今般の東芝事件で、東芝を追い詰め、一部の社外取締役(監査委員長ほか1名の監査委員)を、6月25日の株主総会での候補者から外してしまった利剣(鋭利なつるぎ)は、会社法第316条の「株主総会に提出された資料等の調査権」である。
同条の第1項は、「株主総会においては、その決議によって、取締役、会計参与、監査役、監査役会及び会計監査人が当該株主総会に提出し、又は提供した資料を調査する者を選任することができる。」と規定され、
2項は、「第297条の規定により招集された株主総会においては、その決議によって、株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができる。」と規定されている。
物言う株主が使ったのは、この2項の規定である。
すなわち、物言う株主は、会社法第297条に基づき、東芝に臨時総会の開催を請求し、その席で、過半数の株主の賛成を得て、「株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任」したのである。
その選任された調査者である弁護士たちがした調査は、52万通のメール文、25万通の添付書類に及んだというのであるから、東芝が第三者には分からないと思っていたであろうことまで、全て白日の下に晒してしまったのだ。
これが利権の鋭さである。
いな、この利権の鋭さは、それだけではない。経産省と東芝の馴れ合い的な姿までえぐり出したのだ。
この利剣の鋭さと効果が分かったことを通して、我が国の会社法の評価は高まったようだ。
この利剣の鋭さと効果が分かったことを通して、上場会社も、法の遵守に努めるようになることが期待できる。