米子東ロータリークラブ公式訪問記
2021/04/02 素封家という語の起源とロータリー
紀元前のこと。儒教が国教化されつつあった中国は、前漢の時代のこと。
司馬遷は「史記」を書き、民間の人物を取り上げた「列伝」の一つ「貨殖列伝」中で、「素封の者」という言葉を使っている。
これが現在の「素封家」の起源である。
ここで「素封」の「素」とは、色の付いていないという意味(無色のこと)、「封」は封土の意味から転じて、「素封の者」とは、封土を持たないが封土を持ち人民を支配した領主と比肩しうるほどの財貨を築いた者という意味になる。
その素封の者の一人に、孔子の弟子の一人である子貢がいた。
孔子は、子貢の商法を、論語の教えにかなっていると評価していている。
それだけ、子貢は、高い倫理観をもって職業を行ったことが理解できる。
その貨殖列伝の中の言葉だが、「売価を公平にして物価を適正にし、市場を経て流通する物資を乏しくないようにするのが、国を治める常道である。」との記述がある。
時代は進み、日本に資本主義の萌芽が見られ始めた時期、渋沢栄一は、「論語と算盤」を著し、道徳経済合一説を発表した。これらはロータリーのいう「職業奉仕」の先駆けといえよう。