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2021/03/01 今年の会社法の進化 3

菊池捷男

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テーマ:菊池捷男のガバナー日記

2021/03/01 今年の会社法の進化 3
3 東証における三つの市場区分

(1)プライム市場
プライム市場とは、東証が定める流通時時価総額と流通株式比率基準をクリアし、かつ高いガバナンス水準を備え、投資家と建設的対話を中心に据えて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットできる大企業を対象にした市場である。プライム市場に移行する企業は、海外の機関投資家などが投資対象となる大企業を想定しているが、この基準はかなり高い。時価総額が2500億円以上、政策保有株式(持合い株式)などを除いた流通株式ベースの時価総額が100億円以上である。2020年12月末時点で約2200社ある1部上場の企業のうち、約600社程度は上記要件を満たさないとされている。
プライム市場に上場する企業は、2021年春に改定が予定されているコーポレートガバナンス・コードが厳格に適用され、取締役の3分の1を独立社外取締役とするほか、役員等に女性、外国人、中途採用者等、多様な能力のある者を登用すること(役員の多様性(ダイバ ーシティ)の確保」)、企業の情報開示(ディスクロージャー)および監査の透明性の強化が要請され、長年の課題とされた、政策保有株式(持合い株)の圧縮、株主との建設的対話への対応等が要請される(日経「統治改革 加速迫るープライム市場条件厳しくー株持合い不利に」2020/12/26)。
2022年にプライム市場に上場を希望する企業は、世界的に機関投資家から信用を得ることができる反面、改定コーポレートガバナンス・コードが厳格に適用されことを覚悟しなければならないので、経営者および幹部従業員は法的スキルをはじめとする各種の対応能力の向上が求められるだろう。
(2)スタンダード市場
スタンダード市場とは、公開された市場における投資対象として、一定の時価総額と流動性基準を満たし、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業を対象にした市場である。この市場には、現在の2部上場企業を中心に、プライム市場に上場できない現在の1部上場企業の他、マザーズ、ジャスダック市場から上がってくる企業が対象になる。これらの企業は、プライム市場の企業ほどではないが、従来通り、コーポレートガバナンス・コードの全部の原則(基本原則、原則、補充原則)が適用される。
(3)グロース市場
グロース市場とは、高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ、一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業(いわゆる新興成長企業)を対象にする市場である。グロース市場に上場する企業には、改正されるコーポレートガバナンス・コードの基本原則だけが適用され、原則および補充原則は適用されない。

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