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2021/02/28 今年の会社法の進化 2

菊池捷男

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テーマ:菊池捷男のガバナー日記

2021/02/28 今年の会社法の進化 2
2 東証における市場区分の見直し

(1)予定される新市場区分編成
昨日の日記に書いたように、2021年春に予定されるコーポレートガバナンス・コードの改定はかなり多岐にわたり、かつ上場企業にかなりの負担を課すものであることから、全ての上場企業がこれに対応できるわけではない。
そこでこれとの関連で東証は、来年の2022年に現在の東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックの4つの市場を「プライム」、「スタンダード」、「グロース」(いずれも仮称であるが、まずこれで決まるだろう。)の3つに再編することにした(日経「東証再編、3市場に決定―「プライム」など海外マネー呼び込む―」2020/12/26)。
上場企業は、東証からの新市場区分の上場維持基準に適合しているか否かの通知に基づいて、2021年の9月から12月にかけて自ら希望する市場区分に上場申請する。そして、2022年1月に東証が各市場に属する企業名を公表する予定である(東証「市場区分の見直しにおけるコーポレート・ガバナンスに関する議論の状況について」2020年11月参照)。

(2)アメリカとの比較
アメリカでは、現在、ニューヨーク証券取引所(NYSE: New York Stock Exchange)とナスダック(NASDAQ)の2つに市場区分されている。NYSEが発表している資料によると、20018年6月末時点での上場企業の時価総額の合計は約3,000兆円であるに対して、東京証券取引所の合計時価総額は約687兆円という。ナスダックは、アメリカの新興企業向けの株式市場であるが、ここに上場している会社には、2020年でもITの巨人であるGAFAと呼ばれる企業が属しているのには驚くが(いずれNYSEに移行するのではないかと思われる。)、新興企業向けの株式市場としても世界最大の規模である。

(3)市場区分再編の理由
2021年1月時点の東証1部に上場する企業の数は、東証全体では約60%を占めるが、中には時価総額が小さいとか、業績が低迷している企業もあり、グローバルに機関投資家からの投資を呼び込めない企業もある。そこで、ガバナンス、財務内容について海外の投資家が安心して投資できる市場区分を作るとともに、トップ市場区分に移行できなかった企業には、そこを目指して経営者に経営努力を促す効果を期待した。また、従来の市場区分では、新興市場としてマザーズとジャスダックが併存しているが、区別があいまいであることから、これを一本化する方がよいとかんがえたからである(前記、東証「市場区分の見直しにおけるコーポレート・ガバナンスに関する議論の状況について」参照)。

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