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2021/02/19 全国銀行協会(全銀協)の職業倫理を評価する
本日付けの山陽新聞1面は、「代理権ない親族出金容認」との見出しで、全国銀行協会(全銀協)が、認知機能の低下した預金者の親族からの、預金の払戻請求行為を、一定範囲で認める見解を表明したことを報じた。
この全銀協の見解表明は、職業倫理(ロータリーでいう職業奉仕)の実践と評価すべきものである。
それは、認知機能の低下した預金者の預金は、預金者を被後見人にしたうえで後見人を付けなければ、引き出しに応じないという銀行実務の現状を、全銀協が、預金者や親族の利益を考え、変えようとするものだからである。
実は、預金者の親族が、預金者の医療費などの支払に充てるため、預金者の預金の払戻請求をしたいと思うときは、法律上、「事務管理」という名目でできないわけではないが、預金の払戻しに応ずる側の銀行にとっては、法律上の「事務管理」が成立しないケースで預金の払戻しに応じるリスクがあるため、この方法による親族からの預金払戻請求には応じていないのが現実なのだ。
そのため、認知機能の低下した預金者の親族が、預金の払戻しを受けたければ、①家庭裁判所に預金者を被後見人とする後見開始の審判を求め、②もし弁護士など親族以外の者が後見人に選任されたときは、預金者が亡くなるまで、毎月後見人報酬を支払い続けるという負担を覚悟しなければならなかったのだ。
それを、全銀協は、銀行のリスク負担で、認知機能が低下した預金者の、悩める親族のために、複雑な手続を執らないでも、預金の払戻請求に応じる姿勢を示したのであるから、これは職業倫理(ロータリーでいう職業奉仕)の実践として、私は高く評価したい。。