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2020/12/07 ロータリー通解⑧ 奉仕概念の金字塔

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テーマ:菊池捷男のガバナー日記

2020/12/07 ロータリー通解⑧ 奉仕概念の金字塔

小堀憲助訳ガイ・ガンディカー(Guy Gundaker)の『ロータリー通解』(A·Talking Knowledge of Rotary)には、小堀憲助の以下の文章があるので、書いておきたい。
ロータリーの奉仕の金字塔というべき内容だと、私は思うからである。
なお、以下の文章のうち「  」内のものは、小堀憲助の文章である。それ以外(といっても、ごくわずかな量であるが)は私が書いたものである。

1.最初期には奉仕概念はなかった
「そもそも初期のロータリーは会員の相互扶助から始まった。この中には、会員が例会と例会との間に互に取引を行なうという物質的互恵主義の立場と、会員が例会に職業上の問題を持ち込むという一種の話合運動を内容とする精神的互恵主義の立場が含まれていたのであった。したがって、クラブの一般的性格である親睦は、ただ仲良くするというものであったが、やがてロータリーの親睦は、より高次の対社会的目的を達成するための下地乃至土壌と考えられるようになった。そうであるから、会員相互間の取引は、ロータリーの本質をなすものではなくして、むしろ、ロータリーに附随的出来事であるとされるようになったのであった。」

2,奉仕概念の発芽
「このようにして最も初期のロータリー運動は、その最初の暗中模索の中から、話合運動を主柱とする精神的互恵主義を残し、そして、これを一般概念としての奉仕service と付けたのである。これは1908年のことであった。」

3.奉仕は一つであった
「しかし、このような一般的奉仕概念には、今日呼ばれるような職業奉仕vocational service 、社会奉仕 community service、世界奉仕international service、クラブ奉仕 club service等という諸概念への分類はまだなされていなかったことに注目しておかなければならない。」であるから、「何が、そして何処までが職業奉仕で、何が、そして何処までが社会奉仕か等と 三百代言的探究に憂身をやつすよりは、先づ奉仕というものは一つであること、それに、ロータリアンであるからには、ロータリー的立場で、より高次の対社会的活動を行なわなければならないことを理解し、これさえ行なっていれば、それ即ち融通無磯の奉仕であると自覚する必要がある。」

4.これが本来の奉仕である
「ガイ・ガンディカーには、今日使われている職業奉仕、社会奉仕等々の専門用語 何一つ出てこないが、これらを産み出す以前にその実体として不分離で存在した奉仕概念がいとも美事に表現されているのであって、今日の日本の ロータリアンが本来のロータリーの道に立ちもどるのに、これほど良い資料はないのである。」

5.国際奉仕概念が意識の下にあった時期
「・・・ついでながら、ガイ・ ガンディカー の書かれた1915年における奉仕概念の中で、はっきりと自覚されていない奉仕の分野が一つあった。それは国際奉仕である。このことは当時のロータリー運動の実態とも関係のあることなのであろうが、これは、ロータリアンがより高次の対社会的活動を行なうに当って、家・職場・地域社会・国家という順で問題意識を発展させながらも、国家以上にわたっての奉仕活動に手を染めることに、実効性の点から、若干の悛巡をしていたし、またせざるを得なかったことによるのであろう。」

6.国際奉仕部門の発見
「しかし、ロータリー思想の中には、この悛巡を吹き飛ばすだけの強力な要素が含まれていた。それは、世界各国におけるロータリー運動の発展と、それに伴なう奉仕活動の活発化である。現に1910年にカナダにウィニペッグ・クラブができ、1911年に英本国にロンドン・クラブができ、1916年にはキューバのハバナにクラブができるという有様で、このような状況の中で、 1914年に世界大戦が始まったのであるが、ロータリーは必然的に、避難民救済と傷病兵の慰問活動を行なったが、実は、人間性に直結するこのロータリーの奉仕活動から、ロータリーは歴史的に民族間に存在していた感情的対立を氷解させ、更にはこの相互理解が戦争を防止し、人類平和を確立する重要な役割を果すという自覚が得られたのであった。つまり、ロータリー発生当初の話合運動の要素はここでも、国際間の問題を国家の武力行使によって解決する方法の否定という点で、その神通力を発揮したのである。このような実践活動を通じて、1919 年のソルト・レイク・ジティ大会と1921年のエジンバラ大会は、ロークリーの奉仕に国際奉仕の分野を付加すべきことを決議し、これが翌年のロスアンゼルス大会の標準クラブ定款に書き加えられることになったのである。」

7.国際奉仕の意義
「ロータリーが国際奉仕の分野を発見したことは、単に奉仕の分野が拡大されたにとどまらなかった。それは、端的に言えば、世界は一つ、人類は一つという思想的認識をロータリーにもたらした。ロータリーには国籍はない。ロータリーには人種はない。したがって、ロータリー・クラブが直接的には地元社会で行なう奉仕は、いかなる種類の奉仕であろうとも、またどんな些細な奉仕であっても、それが、やがては、世界の隅々まで何らかの影響を及ぼすという認識に立って奉仕活動を行なうとともに、国際奉仕の分野では、ロータリー・クラブはその地域性を超えて全世界の問題を直接自己の問題として考えるべきことを各ロータリアンに命ずる原則が産れ出るに到ったのである。この自覚を一言で表わしたものにラハリー会長による「世界は狭くなりその片隅で起きた事件でもたちまち世界中に影響する今日、どこかに不幸な者のあるかぎりみんなは幸福になれない」という言葉がある・・・(以下略)

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