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2020/08/02 職業奉仕と地域経済

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テーマ:菊池捷男のガバナー日記

2020/08/02 職業奉仕と地域経済

10月は「地域社会の経済発展月間」である。
ポール・ハリスは、「ロータリアンは時には革命的にならなければいけない。」と語っているが、地域社会を支える企業経営者にとっても、今、革命的にならなければならない時期が来ているように思われる。
すなわち、上場会社は今、コーポレートガバナンス(企業統治:あるべき会社経営の姿)改革の激流の中に置かれている。キーワードはESGとリスク管理システムの構築である。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとった造語で、環境(E)に優しく、消費者や従業員などステークホルダーを満足させ(S)、資本の効率的運用を可能とする会社機構の構築(G)をいい、リスク管理システムとは、会社に生ずることが想定されるあらゆるリスクにつき、それが顕在すると直ちにキャッチできる網の目のようなシステム、および顕在化したリスクをクライシスと捉えてそれを最小限に押さえるシステムを構築しておくことをいう。
その中で、いま最も注目されているのが、企業統治(Governance)である。
具体的には、社外取締役を過半数置いた指名委員会と報酬委員会と監査委員会を取締役会の中に置き、CEO(最高経営責任者)はじめ経営陣は指名委員会が指名して株主総会に諮る。これら経営陣の報酬は、報酬委員会が決定し、その報酬には業績による変動分を加減する。監査委員会は、経営陣のすることを違法かどうかという観点からだけでなく、妥当かどうかという観点からも監査できるようにするというものである。2019年12月には、上場会社と大会社は、全社、会社法改正により社外取締役の設置が義務になった。やがては、指名委員会や報酬委員会の設置も、上場会社と大会社すべてに、義務化されることも予想される。
このコーポレートガバナンス改革の動きは地方にも波及し、早晩、一定規模以上の中堅会社にも、社外取締役の導入が求められるようになると思われる。社外取締役は、会社経営は一切せず、高い眼識をもった会社経営のアドバイザーや監督役になる。
地域経済の担い手となる会社経営者は、このような時代の変化を十分に把握したうえで、変化に先駆けて、経営体質の強化を図るガバナンスを構築し直す必要が生ずるのではないかと考える。
そのときにこそ、私は、ロータリーの職業奉仕の重要性が増してくるように思う。すなわち、職業奉仕は、これまでのような概念論から一歩進めた、ESGなどの新しい価値観を加えた実践論で、語るべきときがきたと思うからだ。
それが、地方経済の活性化や発展に寄与すること、極めて大ではないかと考えるのだ。

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