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緊急提言 政権は、法の改正をして強権発動の道を開き、かつ、家計と企業を救え

菊池捷男

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テーマ:コロナ禍と企業法務

新型インフルエンザ特別措置法はできた。これにより、首相は緊急事態宣言を発令できることになり、2度にわたり発令はした。しかし、この法律を根拠に、国民に対し各種要請はできても、命令はできない。
一方、海外では、都市封鎖(ロックダウン)を含めた強権の発動ができる国が、多数ある。
これは小説の中での話だが、カミュの書いた「ペスト」では、ペストの蔓延をみて、政権はロックダウンをし、それにより短期間のうちにペスト禍が去った物語になっている。
政権与党にとって、喫緊なすべきことは、これ以上のコロナ禍の拡散を防ぐことである。
もし、ロックダウンその他の強権の発動が、コロナ禍を阻止できる有効な対策なら、これを可能にする法に改正すべきである。
その場合、憲法上の根拠がないなどの反論も出るであろう。
命令権や罰金を定める法の制定が、ただちに憲法に違反するとは思えないが、今は憲法論争に時間を割く余裕はない。
また、政権に「命令権」を与え、それに違反した国民には罰金を科す程度の強権を付与しても、国民が反対するとは思えない。
政権・与党は、可及的速やかに法の改正をして、コロナ禍阻止のため、強権発動の道を開いておくべきである。
もし、それが憲法違反だという非難が多く、国民の意志を問う必要があると判断したときは、コロナ禍が収束した後、衆議院を解散して、国民に信を問えばよい。
大切なことは、コロナ禍拡散防止の最も有効な方法を、躊躇なく、実行することである。

また、政権は、家計と企業を、財政面から救済すべきである。
政権は、歴史上人類を襲ったウイルス禍は、今回が初めてでないこと、その都度人類はウイルスに勝ち、それを踏み台にして発展を遂げていることを、正しく認識し、将来を悲観することなく、今を大切にすべきである。具体的には、今危機の渦中にある家計と企業に対し、国富を傾けるくらいの財政的支援をなすべきである。
そのための財政の負担などたいしたことではない。あの国民多数の命と物的生産設備や居住の場所をも広い範囲で破壊した太平洋戦争の惨禍ですら、わずか10年程度で克服し、高度経済成長期に入ったくらい、日本人の知恵と技術の力は、計り知れないほど大きいのである。
であるから、政権は、1929年のウォール街での株式市場の大暴落後の、長い期間にわたって続いた大不況のような事態を招いてはならない。
国民が絶望して多数の自殺者を出すような愚(無策)を犯してはならないのである(なお、アメリカのこのときの不況に対し、アメリカ政府がした大規模な財政出動は1933年のテネシー渓谷の開発であるが、決して早いものではなかった)。

今、政権がすべきことは、断固たる決意をもってする強権の発動と、迅速な家計と企業への惜しみない財政支援である。
安倍首相は、危機時の首相として、あのウインストン・チャーチルの断固たる意志、理外の理にならうべきである(チャーチルは、チェンバレン首相がナチス・ドイツとミュンヘン合意を結び国王と国民の歓呼を受ける中、ナチスの危険性を論じ、軍備の増強を訴えた。その後歴史で明らかなとおり、チェンバレンは失脚し、チャーチルが首相になり、ナチスに勝利した。)。

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菊池捷男(弁護士)

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