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遺言執行者の権限② 遺贈の履行

菊池捷男

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テーマ:令和時代の相続法

遺贈は、遺言の執行が必要になります。
遺言の執行(条文は「遺贈の履行」と書かれています。)は、遺言者の地位を承継した相続人がすることになりますが、平成30年改正法は、民法第1012条に2項を設け、「遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。」と定めました。
相続人に遺言の執行を任せておくと、相続人自身の利益に反する遺言執行の場合は、それをする保障がないからです。

遺贈の履行相続人がする
遺言執行者がいる場合は遺言執行者だけができる

ア 包括遺贈の遺言執行
 包括遺贈については、民法第990条が「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。」と規定しているところから、包括受遺者は、包括遺贈の割合に応じた相続財産を取得できます。

 包括遺贈が財産全部の包括遺贈であれば、相続人(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)は、相続財産全部につき、受遺者に財産の引渡や名義の移転など遺贈の執行をします。

 包括遺贈が一部の包括遺贈(例えば、3分の1)の場合は、受遺者はその割合(例では3分の1)の相続分をもって遺産分割に参加することができます。その遺産分割の結果得られた財産については、相続人(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)が遺贈の執行をします。

イ 特定遺贈の執行
 特定遺贈は、遺言書で、財産が特定されていますので、遺産分割の必要はなく、相続人(遺言執行者がいり場合は遺言執行者)が、その執行(当該特定の財産の引渡し・名義移転)をすることになります。

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菊池捷男(弁護士)

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