行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)
各自治体(普通地方公共団体)の審議会、各種諮問委員会の構成員の氏名も、無論、個人情報であり個人データです。
したがって、これら委員の氏名の公表は、個人情報の保護に関する法律によって、本人の同意なくしては許されません。
しかしながら。一方で、これら委員の属性については、自治体住民にとっては、重要なものになりますので、その氏名等は是非とも知っておきたい情報でもあります。
そこで、これら委員の氏名等は、本人の同意なくして、公表できるかという問題が生ずるところですが、一般的に言えば、自治体が設ける「情報公開条例」では、これら委員の氏名は「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名・・・」は個人情報であることを明らかにしながら、一定の要件を満たした開示請求に応じています。
すなわち、委員の氏名は「情報公開条例」では、「慣行として公にされている情報」に該当するものとしているのです。
慣行によって公にされているのなら、これらの個人情報は開示してもよいという理屈になるのです。
なお、ここでいう「慣行として」とは、事実上の慣習としてという意味と解されています。
最近の紛争例を紹介します。
・ 福島県公共事業評価委員の氏名開示を県が拒んだ事例で,同県の情報公開審査会は、「(これらの情報は)・・・ある程度県民への説明責任からも公表が予定されていると考えるべきであり,・・・審議内容から委員名さえ公表できないという特殊なものを除いて構成委員名は一般に明らかにされているとみることはできる」などと判示しました。
・ 三重県津市において都市計画審議会委員名簿等の開示請求が行なわれた事例で,津市は名簿の記載のうち,委員の年齢性別等は非開示としましたが,委員の氏名部分の開示には応じています。
・ 結論としては、委員の氏名は、「公にしても当該公務員の個人の権利利益を害するおそれがないと認められるもの」である場合は、開示の対象になっているのです。