特別縁故者と他の共有者、いずれが優先されるのか?
祭祀の主宰者は、①被相続人が指定した者、②慣習がある場合は慣習に従う、③家庭裁判所が定めるという順番で決められます。
裁判所が定める基準は、「被相続人との身分関係や生活関係,被相続人の意思,祭祀承継の意思及び能力,祭具等の取得の目的や管理の経緯,その他一切の事情を総合して判断するのが相当である。」とされており(大阪家庭裁判所平成28年1月22日審判事例より)、肉親でなくとも、甥や姪からの申立てを認めず、内縁関係にある者を指定する場合(さいたま家庭裁判所平成26年6月30日審判事例)、内縁ともいえないが、数十年来つき合ってきた男性(彼は、被相続人のマンションを訪問し,少なくとも月に数日は生活を共にし,被相続人と一緒に旅行に出かけたりしていたほか,被相続人との間で数百万円の金銭の授受をしていたこと,葬儀業者に連絡して被相続人の葬儀を主宰し,葬儀費用を負担し,被相続人の遺骨を現に所持し,位牌や戒名の手配をした」人物です)を指定するなどしています。
要は、被相続人が、最も、それを喜ぶであろうと思える人物を指定しているともいえます。
参照条文
民法897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。