遺産分割⑬ 持戻し計算がなされる特別受益の範囲
Q 父が亡くなりました。遺産は3000万円あります。
相続人は、子のABCの3人です。
私は、900万円相当の土地を父から生前贈与されていました。
この場合、私は遺産分割ではいくらの価値の財産をもらえますか?
A
遺言書がない場合、遺産分割は、遺産の額に生前贈与財産額を加えたものを相続財産とみなし(これを「みなし相続財産」といいます)、法定相続分で分けます(その結果の数字は「仮の相続分」といいます。)が、生前贈与を受けた相続人は、仮の相続分から生前贈与額を引いたものが、遺産分割で所得できる遺産額(これを「具体的相続分」といいます)になります。
具体的相続分が、0かマイナスの数字になれば、遺産分割でもらえる物はありません。
あなたの場合の具体的相続分(遺産分割のときにもらえる価額)を計算します。
1 みなし相続財産の算出
遺産(3000万円)+生前贈与(父の土地評価額)900万円=3900万円が、みなし相続財産です。
2 具体的相続分の算出
あなたの具体的相続分は、[みなし相続財産3900万円]×[3分の1(法定相続分)」-「特別受益(生前贈与分)900万円」=400万円
他の2人の具体的相続分は、1300万円です。
3 コメント
①相続人3人の具体的相続分を合わせると、遺産の額に一致します。
具体的相続分が、遺産の評価額を分ける基準になる数字ですから、当然のことです。
②他の2人の具体的相続分は、あなたが生前贈与を受けられた金額分だけ多くなっています。
これも公正な遺産分割の理念から当然のことです。
ただし、特別受益について持戻し免除の意思表示がある場合は別計算になります。