相続放棄に代襲相続なし
1 相続を放棄した相続人が相続財産を管理する責任は、基本的はありません。
民法918条1項は、「相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。」と規定し、この規定のただし書に、相続放棄の場合には相続財産の管理責任はないものとしているからです。
2 引き継ぎまでの管理責任はある
とはいうものの、民法940条には、「相続の放棄をした者による管理義務の規定は、その放棄によって相続人になった者が相続財産の管理を始めることができるようになるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」という規定がありますので、次順位相続人がいる場合又は相続財産管理人が選任される場合までの一時的暫定的な管理義務はあります。
3 引き継ぐものがいない場合は責任なし
そのような相続財産を管理する人がいないときまで、相続財産の管理義務を負うわけではありません。
4 その場合は、相続財産については誰も責任を負わないのか?
その場合で、利害関係人や、公益上の必要があると判断されるときの検察官は、民法918条2項「庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。」という規定により、相続財産管理人の選任や相続財産の換価処分などを求めることができます。