コラム
死者に関する情報を教えてほしいと要請を受けた場合
2018年4月8日
Q
当社は、広く、個人の顧客と取引をしておりますが、今般顧客A氏がお亡くなりになり、そのお孫さんから、A氏が生前に当社から購入した物品の明細(購入リスト)を教えてほしいと言われました。教えなければならないのですか?
A
死者の情報は、個人情報保護法上の個人情報ではありません。
しかし、死者の情報であっても,相続人等他の生存している個人の情報が含まれる場合には、当該情報は個人情報保護法上保護しなければなりません。
多くの自治体は、「死者に関する情報にかかる情報開示取扱要領」を制定していますが、
その内容は、基本的には①死者の有していた財産に関する情報,②死者の有していた不法行為に基づく損害賠償請求権に関する情報,③死者の死に起因して相続人が有することとなった権利義務に関する情報は、相続人には、開示しているようです。
なお、金融機関は、死者との取引の履歴については、預金契約に当然付随する義務として、相続人に対して、開示義務があるとされています。そのため,相続人からの取引履歴の開示に応じることは,金融機関の有する守秘義務には反しない,と判断されています(東京地判平成15年8月29日)。
貴社が開示を要請されるような故人の購入リストも,同様に考えられると思われます。ただ、お孫さんが、相続人でない場合は、開示の求めに応ずるべきではないでしょう。
関連するコラム
- 民法雑学 4 公立病院における診療債権、水道料金債権など自治体債権の消滅時効期間 2013-08-05
- 継続的契約の一方的な解約は許されるか? 2011-07-26
- 民法雑学 農協の理事会での理事と監事の発言の差異 2014-08-05
- 民法雑学 コピー1枚500円は違法 2013-11-09
- 民法雑学 心が傷つけられたとき 2015-01-12
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。