従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効
Q 会社から少数株主を締め出す方法があると聞いたことがありますが、どのような方法があるのですか。
A 次のような方法(制度)があります。
第1 特別支配株主による株式売渡請求
特別支配株主とは、会社の株式の9割(正しくは議決権の9割)以上を持っている株主のことで、特別支配株主は、残りの株式全部について、その株主に対し売渡請求ができ、それをすると、特別支配株主と相手方株主(少数株主)間に株式売買契約が成立し、相手方株主の有する株式は特別支配株主に直接に移転することになりますので、株主総会から少数株主を締め出すことができます。
第2 株式併合
株式併合とは、株式会社が、数個の株式を合わせてその数よりも少ない数の株式に変更し、発行済株式総数を減少させること(会社法180条以下)です。たとえば、10株の株式を1株とするような方法です。これは株主総会の特別決議によってきますが、これをし、少数株主の保有株式数が1株未満になると、その株主は株主資格がなくなります。そうなると、1株未満の株式(未満株式)はまとめて売却され、売却代金が株主に分けられることになりますので、その株主は株主総会から締め出されます。
第3 相続人に対する売渡請求
会社は、定款に定めがある場合で、譲渡制限株式が相続されたとき、株主総会の特別決議によって、相続人に対して、当該株式を会社に売渡すことを請求することができます(会社174条)。この制度は、非公開会社において、株式が相続によって分散、又は、会社にとって好ましくない者に移転することを避けるために設けられた制度です。相続以外でも合併により株式が承継(相続と合併を合わせてされた承継を「一般承継」といいます。)場合も同じです。
これを活用すると、株主総会から株主を締め出すことができます。