民法雑学 4 公立病院における診療債権、水道料金債権など自治体債権の消滅時効期間
Q
A社が、従業員Bの給与につき、某年某月25日に銀行振込の方法で支払う予定で、同月23日に取引銀行(仕向銀行)に振込依頼をしたが、翌日24日の午前11時に、Bの給与に対する差押命令書が送達されました。
しかし、A社は、仕向銀行に振込依頼の撤回はできないと考え、何もしなかったため、Bの給与は28日にBの銀行(被仕向銀行)口座に入金になりました。
この場合、差押債権者は、A社に対し、差押が有効なものとして、差し押さえた給与・退職金の支払を請求できるでしょうか?
A
原則として、できます。
すなわち、最高裁判所第一小法廷平成18年7月20日判決は、「銀行実務上,一定の時点までに振込依頼が撤回された場合には,仕向銀行は被仕向銀行に対していわゆる組戻しを依頼し,一度取り組んだ為替取引を解消する取扱いが行われている(全国銀行協会連合会が平成6年4月に制定した振込規定ひな型・全銀協平6・4・1全事第8号参照)」のであるから、給与の差押命令が送達された後、給与がBの口座に振り込まれる日の前日(27日)の午後3時までに、A社が仕向銀行の窓口に赴くことで振込依頼の撤回の手続を執ることが可能であった場合は、差押は有効であるから、その場合は、差押債権はA社に対し、差し押さえた給与の支払を請求できる旨判示しました。