改正個人情報保護法の狙い ビッグデータを活用する新たな産業の創出
1 コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスという考え方は、、1998年にイギリスで始まったとされていますが、その目的は、会社に損失隠しなどの不祥事を起こさせないため、少なくとも不祥事を起こすリスクを減らすためであったようです。
なお、不祥事は、株式会社制度から必然的に発生するもののようです。また、不祥事は、決算書に粉飾決算の形で現れますので、不祥事=会計不祥事でもあります。
2 21世紀の不祥事
21世紀になっても不祥事は、当然発生しています。アメリカでは、2001年12月にエンロン社が400億ドルの債務を残して突如破産(この時点でアメリカ史上最大規模の破産)し、2002年7月にはワールドコム社が410億ドルという、日本円換算で4兆7000億円もの債務を残してこれも破産しています。
いずれも、多額の債務や損失を隠した粉飾決算が原因の破産であったため、一般投資家には、甚大な損害を与えています。
これらの事件が起こったことから、アメリカでは、資本市場に対する信頼が崩れ、会計監査やコーポレート・ガバナンスに対する不信感が高まり、政府は2002年7月にサーベンス・オクスリー法(SOX法)を制定し、罰則の強化を図りました(我が国でも同時並行的に会計不祥事が続発し、2006年6月に日本版SOX法とも言われる金融商品取引法が成立しました)が、2008年9月には、投資銀行のリーマン・ブラザーズが、粉飾決算をしていたことが発覚し、桁外れの日本円で64兆円にもなる債務を残して倒産しました。
3 リーマンショックと株価暴落と原因
リーマン・ブラザーズの破綻は、2008年9月15日に判明しました。そのときのアメリカの株価指数であるNYダウ平均1万1420ドルでしたが、その後暴落し、半年後の2009年3月には6626ドルになるという(この間53%もの下げ)暴落に見舞われたのです。これが「リーマンショック」といわれるものです。
リーマン・ブラザーズが破綻する原因となったのは、サブプライムローンというものです。
サブプライムローンとは、信用力の低い人や低所得者層に向けた、主に住宅を担保とする高金利融資のことですが、この融資は、借りた当初の利息は安く、数年後からは金利が大幅に上がる仕組みのものでしたので、サブプライムローンの融資を受けた人は、不動産価格が値上がりし続けない限り、そして値上がりした時点で売却しない限り、いずれ破綻は免れないという宿命を負わされたといってよい融資でした。
リーマン・ブラザーズは、このサブプライムローン債権を小口の金融商品にして国民一般に販売していたのです。
ところで、このローンの実体は、かつて我が国が、1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までの51か月間(景気動向指数上見られた期間)に経験し、1990年(平成2年)3月27日に大蔵省(現・財務省)による不動産融資総量規制という通達が全国の金融機関に発せられたことから、やがて不動産価格が暴落するという現象が起こるまでのバブル経済を彷彿させるものでした。
ですから、冷静な目で見ると、リーマンショックは、予見が全くできないものではなく、実際に、その前年の1007年には、他の金融機関ではサブプライムローンを内容とする証券については、顧客からの解約は認めないというところも出、アメリカのダウ平均も2007年10月の1万4000ドルをピークとして、リーマンショックの日までに1万1420ドルまで2割近く下がっていたのです。
それはともかく、リーマンショックは、世界的な金融不安を引き起こし、世界経済が冷え込みました。我が国も当然株価の値下がりに見舞われましたが、それにとどまらず、消費が落ち、金融不安からのドル安(円高)が進み、輸出産業に大きなダメージを受けるなどしたため、リーマンショックの発生地である米国よりも深刻な景気後退に陥っております。
4 コーポレートガバナンス・コードの必要性
会社の会計不祥事が、世界経済に与える影響は、資本主義経済の根幹を揺るがすものがありますので、不祥事の根絶はできないまでも、最大限その可能性を摘み取るためのコーポレートガバナンス・コードの制定と施行は、喫緊の重大事であるのです。