ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話
1 日経新聞の記事
日本経済新聞(2018年1月21日)の、「物言う株主、再び攻勢 日本株大量保有、9年ぶり高水準―企業統治指針も追い風」という見出しの記事の中で、たいへん興味深い内容が書かれていました。
それは、2017年の日経平均株価の上昇率は19%であったのに対し、物言う株主(アクティビスト)が保有した株の上昇率は平均33%にもなっているという内容です。
2 アクティビストが保有する株の株価が上昇する理由
前記新聞記事によれば、物言う株主は、上場会社に対し、利益の株主への還元(増配)をはじめ種々の施策を提案する姿勢を見せていると書かれています。そして、物言う株主の提言を支えているのが、「企業統治指針」すなわち、東京証券取引所が平成27年(1015年)6月1日から上場会社に対して適用している「コーポレートガバナンス・コード」だというのです。なお、「コーポレートガバナンス・コード」は、東証と金融庁の共同作業により策定されたものです。
3 コーポレートガバナンス・コードの内容
コーポレートガバナンス・コードは、①5項目の「基本原則」、②基本原則の内容を詳細に規定した30の「原則」及び③「原則」の意味を明確にするための38の「補充原則」からなっており、(a)上場会社に対し、社外取締役を二人以上置くこと、(b)取締役会は株主と会話すること、(c)企業価値の向上や収益力・資本効率等の改善をすること、(d)法令に基づく情報の開示のほかにも情報(財務情報、非財務情報を問わず)の開示に、主体的に取り組むことなどを求めています。
4 コーポレートガバナンス・コードの影響
そのコーポレートガバナンス・コードが、物言う株主を増やすことは間違いないことでしょう。また、物言う株主が増えれば、会社に対し株主との対話を求め、増配など株主への利益還元を要求し、さらには、会社経営を効率化して会社がより高い利益を挙げることを要求するようになるでしょう。
ところで、物言う株主が買った日本株が年間33%も値上がりした原因が、物言う株主の増配・経営の効率化という要求の結果、会社が増配や増益を果たしたからなのか、物言う株主が大量に株を買ったこと自体が原因で株価が上がったのか、私には判断できませんが、いずれにせよ、物言う株主が買った上場株式は、それ以外の株を尻目に、年間平均して33%もの上昇を遂げたというニュースには、たいへん興味深いものがあります。