会社法の歴史 1 はじめは「商法」であった 「商法」はドイツ法に倣ったものだった。そして、戦後・
1 独禁法
「のう、後藤よ!独禁法って何だ?」
「独禁法(正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)は、戦後すぐの昭和22年に、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の主導により、アメリカの反トラスト法(それ自体単一の法律ではなく、複数の法律の総称)に倣って作られた法律でな、資本主義経済の下、自由かつ公正な競争を維持発展させるため、これを阻害するカルテルその他の経済行為を規制する目的で導入されたものなんだ。」
「そうだとすると、独禁法に違反した場合は、制裁が科されるということかい?」
「法律だから当然だろう。刑事罰を科される場合もあれば、課徴金(法的性格については議論がある)を課される場合もあるよ。カルテルなどは、談合そのものなんだから、刑法に違反する犯罪だよ。刑事制裁が科されない場合も、課徴金という刑事罰類似の罰の対象になる行為もあるよ。」
2 独禁法の監督官庁
「ところで、後藤よ!独禁法の監督官庁は、公正取引委員会(以下「公取委」という。)だったよなあ。どんな行政機関だい。」
「公取委は、内閣の外局に設置された行政委員会だが、これは国家公安委員会と同等の格付けになっている、独立性の高いいわゆる3条委員会(国家行政組織法3条)でな、課徴金を課すことにできる強力な権限を持っている機関だよ。そのため「権限官庁」といわれることがあるぞ。企業にとっては少し怖い、その意味で、鬼門意識があるかもしれん官庁だよ。」
3 課徴金
「ところで、後藤よ。独禁法では、初めから課徴金制度があったんかい。」
「いいや。独禁法に、制定当時は、課徴金制度はなかったのだが、罰則がない規範というのは、罰則のない交通違反を思えば分かるように、規範意識が育つものではないわなあ。そのため、まずはカルテルについて課徴金制度が導入されたが、その後、課徴金の対象が広がっていったわけだ。」
「たしか、優越的地位の濫用による課徴金制度の導入は、比較的最近のことだったよなあ。」
「そうだよ。優越的地位の濫用に課徴金が課されるようになったのは、平成22年からだったが、その課徴金を課された一号事件は、2億2000万円少々だったなあ。これは、多くの店舗を経営するスーパーマーケットが新規開店をする際に、納入業者に無償で、応援に来させたことなどが理由とされたものだ。」