ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話
Q 当社は、当社の従業員Aに対し、従業員への金銭貸与制度を使って、一定の金額を有利子で貸与していますが、今般Aが交通事故に遭い、意識不明の重体に陥ったという理由で、その父親が当社に対し、その貸与金の返済をしたいと言ってきました。
当社は、その支払を受けようと考えていますが、個人情報保護法では、第三者に当社従業員の個人データを提供することはできない(個人情報保護法23条1項)ことになっており、この法律でいう第三者とは本人以外の者をいい、父親もあっても第三者になると聞いていますので、父親に、従業員Aの個人データに属する当社からの借入金の明細を教えることは許されないのではないかと心配しています。アドバイスを与えてください。
A たしかに、個人情報保護法23条1項本文は「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と規定していますが、「次に掲げる場合」、つまり、その例外となるものの中に、同条同項2号に「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」がありますので、本件の場合、従業員の有利子負債がなくなるという「人の財産の保護」と「本人の同意を得ることが困難」という要件を満たしていると考えられますので、従業員の父親に、本人の債務の代位弁済をしてもらうため、従業員の負債に内容を教えることに問題はないと考えます。