ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話
サービサーとは、債権管理回収業者のことです。
サービサー法(正式名称は「債権管理回収業に関する特別措置法」)は、バブル経済が崩壊し、金融機関が、回収不能になった膨大な不良債権を抱え込み、BIS規制(BISとは国際決済銀行のこと。BIS規制とは、銀行の健全性確保や競争の公平性の確保を目的として,BIS が定めた民間銀行の自己資本比率に関する国際的な統一規制のこと)。に抵触するおそれが生じたことから、その処理を急がすため、制定された法律です。
もともと、債権の回収を業として行うことは、弁護士法に抵触しますが、国は、サービサーの要件として、資本を5億円以上の株式会社とし、反社会的勢力の排除措置をとり、取締役として最少人数の弁護士を加えるなどを定め、この要件を満たした場合に限って、その設立を許可することにしたのです。
サービサー法は、一方では、金融機関が、廉価であっても、不良債権をサービサーに売却すれば、その余の債権額は全額無税償却ができる(債権額を貸借対照表から切り離す(=オフバランス)ことができる)というメリットがあり、他方では、サービサーが、原債権者(金融機関等)から格安で債権を買い取り、その金額を超える債権の回収ができれば、その超える金額がそのまま利益になるというメリットがあり、ずいぶん活用されてきた制度です。
個人情報との関係でいいますと、サービサー業務は、必然的に、個人情報の取得と提供(法律上は、個人データの第三者提供)を伴い、その個人情報は、金融機関に対する債務という、いわばセンシィチブ情報になりますので、個人情報の扱いに関しては、十分な配慮が求められることになります。
そのため、所轄官庁である法務省は、ガイドライン(「債権管理回収業分野における個人情報の保護に関するガイドライン」)を設定し、金融機関やサービサーにガイドラインを遵守させております。金融機関やサービサーも、このガイドラインを遵守さえしていれば、同法違反による業務改善命令、業務停止、免許取消等のリスクがないことになります(岩崎邦生・山下順子「債権管理回収業分野における個人情報の保護に関するガイドライン」金法1735号33頁参照)。
なお、個人情報の保護に関するガイドラインは、業種、業態ごとに、監督官庁が作成していますので、各個人情報取扱事業者は、自社の置かれた業種、業態におけるガイドラインは、必ず、見、かつ、遵守しなければなりません。