景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例
特定個人情報という用語(法概念)は、個人情報保護法上の用語ではありません。
この用語は、2013年(平成25年)に成立(平成27年改正)した番号法(正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」といい、マイナンバー法とも呼ばれています。)上の用語です。
ところで、番号法は、国民全員に番号(マイナンバー)を付し(法人にも法人番号を付すことになります。)、これに、税務、社会保障、災害対策の分野における個人情報を結びつけ、行政の効率化や公正な給付と負担を実現し、手続きの簡素化図るということを目的としてできたものですが、この法律で予定する災害はそんなに多く起こるわけでもないし、社会保障関係の手続もそんなに多くならないことを考えますと、この法の最大の眼目は、税金逃れをさせない点にあるといってよいでしょう。
かつて、30年以上も前になりますが、税金の公平の負担という観点から、国民総背番号制とか、グリーンカード構想が持ち上がったことがあります。
目的は、番号法と変わらないものでしたが、この制度は、背番号という言葉が、人を監視するというマイナスイメージを醸成し、国民が受け入れるところとならず、結果的に日の目を見ることはありませんでしたが、今回は、番号法がスムースの成立しています。
なお、番号法においては、罰則が極めて厳しいものになっています。
特定個人情報ファイルの不正提供罪(番号法48条)は、特定個人情報ファイル(マイナンバーの記載のある個人情報のファイル(集合物)のこと)を、正当な理由なく誰かに提供、つまり渡してしまう罪ですが、これを犯すと、4年以下の懲役 若しくは 200万円以下の罰金 又は これを併科されることになっていますので、懲役刑が選択されると執行猶予は付けられないことになるほどの重罰規定になっているのです。特定個人情報ファイル化されていない、個人番号の不正提供、盗用の場合(番号法49条)でも、3年以下の懲役 若しくは 150万円以下の罰金 又は これを併科することになっています。
個人情報保護法と、番号法は、一般法と特別法の関係になります。
要は、マイナンバーに関しては、番号法が優先して適用され、番号法に規定のない事項については、個人情報保護法が適用されることになるのです。