ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、「不当表示」を禁じています。
その一類型である「優良誤認表示」の一態様に「不実証広告」というものがあります。
それは、表示どおりの効果や性能があることを合理的に根拠づける資料(合理的根拠資料)がないのにもかかわらず、表示をしている広告のことをいいます。
法は、商品等の効果や性能について表示を行う事業者に対して、表示どおりの効果・性能があることを合理的に根拠づける資料をあらかじめ有していることを求めているのです。
東京地方裁判所平成28年11月10日判決事件を紹介します。
①甲社は、窓ガラスに貼って使用する「シーグフィルム」という名称の商品の販売等を行うにあたり、この商品を窓ガラスに貼付すると夏季における遮熱効果及び冬季における断熱効果があり、冷暖房効率を向上させる旨を具体的な数値を挙げるなどして表示した。
②これに対し、消費者庁長官は、甲社に、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出が求めたが、甲社はこれを提出しなかった。
③そこで、消費者庁長官は、①の表示を、不当景品類及び不当表示防止法の「優良誤認表示」とみなして、甲社に対し、表示が法に違反するものであることを一般消費者に対して周知徹底すること等を命ずる措置命令を出した。
④これに対し、甲社は、東京地方裁判所に対し、その措置命令の取消訴訟を起こした事件
で、消費者庁長官のした措置命令に違法性はないとして、甲社の請求を棄却しました。
同判決は、事業者が合理的根拠資料を提出しなかったことを理由に、措置命令を出しますので、注意が要ります。
なお、消費者庁のホームページには、「優良誤認表示を効果的に規制するため、消費者庁長官は、優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合には、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合には、当該表示は、措置命令との関係では不当表示とみなされ(第7条第2項)、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます(第8条第3項)。」との見解があきらかにされていますが、前記東京地裁判決は、その見解(解釈)を認めたものです。