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遺留分法理⑥ 遺産分割協議の申入れが、遺留分減殺請求の意思表示を含むとされる要件

菊池捷男

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テーマ:相続判例法理

遺産分割協議の申入れが、遺留分減殺請求の意思表示を含むとされる要件

最高裁判所平成10年6月11日判決
1 遺産分割と遺留分減殺とは、その要件、効果を異にするから、遺産分割協議の申入れに、当然、遺留分減殺の意思表示が含まれているということはできない。しかし、被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合には、遺贈を受けなかった相続人が遺産の配分を求めるためには、法律上、遺留分減殺によるほかないのであるから、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれていると解するのが相当である。
 
2 これを本件について見るに、前記一の事実関係によれば、延子はその全財産を相続人の一人である被上告人に遺贈したものであるところ、上告人らは、右遺贈の効力を争っておらず、また、本件普通郵便は、遺留分減殺に直接触れるところはないが、少なくとも、上告人らが、遺産分割協議をする意思に基づき、その申入れをする趣旨のものであることは明らかである。そうすると、特段の事情の認められない本件においては、本件普通郵便による上告人らの遺産分割協議の申入れには、遺留分減殺の意思表示が含まれていると解するのが相当である。

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菊池捷男(弁護士)

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