遺産分割判例法理 「遺産分割による代償譲渡」は有効
1 処分型遺言
処分型遺言とは,遺言者が,遺言執行者に対し,遺産の処分権限を付与する遺言のことをいいます。
例えば、次のような、全遺産を売却処分して,売得金から債務などを控除した残金を、公共の団体に寄付する遺言などがあります。
遺言書
遺言執行者は,私の全遺産を売却処分して現金となし,そこから相続税,譲渡所得税その他の公租公課及び遺言執行者報酬を控除した残金を・・・・・に寄付すること (又は、次の者に次の基準で分与すること)。
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2 換価が困難な遺産の処分型遺言
換価の困難な遺産、例えば、非公開会社の株式(いわゆる自社株)の換価は、簡単にはできません。
そのような財産を遺言執行者に換価してもらうためには、前述のような単純な遺産処分権限を、遺言執行者に与えるという遺言条項では間に合いません。
遺言執行者に、それを可能にする権限(例えば、事業譲渡など)を付与する遺言条項も書かなければなりません。
明日のコラムでは、その一つの例を紹介しますが、我が国の経済を支えている中小企業経営者の中には、後継者がいないために、自社をどうするかについて悩んでいる人がいますので、今後も、このような人の要求を満たす遺言書の重要性は増えてくるだろうと思われます。