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遺言執行を要する法定遺言事項④ 相続人廃除

菊池捷男

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テーマ:相続判例法理

相続人の廃除
「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、」被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます(民法892条)が、遺言で廃除することもできます。
遺言による相続人の廃除は、遺言執行者が家庭裁判所に請求してしなければなりません(民法892条1項)。

遺言文例

長男○○は、お金の無心を繰り返し、遺言者がお金を渡さないときは、遺言者をしばしば侮辱し、遺言者が病気で寝ているときに足蹴にして暴行を加えるなど虐待を続けているので、長男を相続人から廃除する。


裁判所での審理
裁判所は、当該相続人に廃除理由があるかどうかを審理しますが、廃除理由は通常は遺言書に書いているはずですが、遺言書に書いていない場合でも裁判所は職権をもって広く廃除理由の有無について事実調査と証拠調べをしなければなりません(第22回南関東家事審判官協議会決議昭31.9.20家月8巻7号)。

遺言執行者の義務
遺言執行者は、必ず、廃除の請求をしなければなりません(民法893条)。遺言執行者が、廃除請求をしない場合は、他の相続人等利害関係人は、遺言執行者を任務懈怠により解任請求することができます(民法1019条1項)。

廃除された相続人は、相続人にはなれませんが、その子は代襲相続人になれます。
民法887条1項が、「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は相続人欠格事由があるとき、若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。」と規定しているからです。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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