立法論としての相続法③ 配偶者の居住権の保護
債務が多くあり,遺産を相続しても債権者に差し押さえられると考え,遺産分割においては取得できる具体的相続分よりも,少ない遺産しか分割を受けなかった場合,その遺産分割協議は,詐害行為になり,取り消されるおそれがあります。
すなわち,最高裁判所第二小法廷平成11年6月11日判決が,「共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。けだし、遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができるからである。」と判示しているからです。