遺留分法理③ 遺贈(ここでは相続分の指定)+贈与により侵害された遺留分額の計算法理
いったん成立した遺産分割協議も,全相続人が合意すれば,解除でき,解除後,改めて遺産分割協議を成立させることはできます。
最高裁判所平成2年9月27日第一小法廷判決が,「共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではなく、上告人が主張する遺産分割協議の修正も、右のような共同相続人全員による遺産分割協議の合意解除と再分割協議を指すものと解されるから、原判決がこれを許されないものとして右主張自体を失当とした点は、法令の解釈を誤ったものといわざるを得ない。」と判示しているからです。
ただ,税務当局は,やり直し遺産分割協議で,不動産が移転した場合,それを売買契約,交換契約又は贈与と認定して,課税をする可能性がありますので,再度の遺産分割で不動産が移転する場合は,この点の注意が必要です。
ただ,明日紹介します判例は,再度の遺産分割で不動産が移転した場合,それは「相続による不動産の取得」になるものと考え,不動産取得税は課さないものとしていますので,税務当局も,この判例を尊重すれば,課税はできないように思えますが,その点の判例はないようです。