行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)
Q 住民からの公文書の開示請求に応じた後の,公文書の内容に対する質問に対しては,回答する義務のないことは分かりましたが,このような住民からの質問や行政批判や提言は,“知る権利”の乱用になるので,自治体としては受け入れないでよい,といってよいのですか?
A いいえ。権利がないことと権利の乱用は違います。
公文書の開示請求は,住民の当然の権利ですが,その権利の行使が,例えば,「開示請求に係る行政文書が著しく大量である場合又は対象文書の検索に相当な手数を要する場合に、・・・請求を受けた行政機関が、平素から適正な文書管理に意を用いていて、その分類、保存、管理に問題がないにもかかわらず、その開示に至るまで相当な手数を要し、その処理を行うこと
により当該機関の通常業務に著しい支障を生じさせる場合であって、開示請求者が、専らそのような支障を生じさせることを目的として開示請求をするときや、より迅速・合理的な開示請求の方法があるにもかかわらず、そのような請求方法によることを拒否し、あえて迂遠な当該行政機関に著しい負担を生じさせるような」(平成15年10月31日東京地裁判決(確定)の例)場合をいいます。この場合は,開示請求は認められません。
すなわち,権利の乱用とは,外形的には権利の行使ですが,それが乱用される場合をいうのです。権利がない場合の要求は,権利の乱用とはいいません。