相続 相続分の指定によって遺留分が侵害された場合の最高裁判例
事例
平成21年5月10日 被相続人が,全財産を相続人甲に相続させる,と書いた遺言書を残して死亡。
平成23年10月6日,相続人乙から,甲に対し,遺留分減殺請求をした。
その直後頃,甲の代理人弁護士Aは,乙の遺留分減殺請求は,遺留分が侵害されたことを知って1年以上も経ってなされたものであるので,時効によって遺留分減殺請求権は消滅している,と回答。
それを聞いて諦めかけた乙が,B弁護士に相談すると,B弁護士は,
「あなたの場合,相続開始後1年以内に,甲に対し,法定相続分で遺産分割をするように申し入れていますので,判例(遺産分割の申入れをしていた場合は,遺留分減殺請求をしたものとして扱われるという最高裁平成10年6月11日判決)により,遺留分減殺請求権は時効消滅していませんよ。」と教えてくれたので,
乙から甲の代理人A弁護士にその旨を伝えると,A弁護士もそのことを認め,乙の遺留分相当分については,金銭で価額弁償をしてくれました。
判例は,第二の法律といわれます。
判例を知っていると,役に立ちます。