新しい契約書案 改正民法に合わせて①「瑕疵」という言葉は使わない
ケーススタディ
1 建築業者ではあるがマンションの分譲を手掛けた経験のないA社が委託者になり,大手マンション分譲会社の従業員であった者が起業したB社が受託者となって,平成**年**月**日,
⑴ 契約目的として,
「①市場調査,➁マンション分譲事業計画の策定及び③それに関する業務の一切」を委託する。
⑵ 対価として,
報酬3000万円を,ⅰ契約締結時に着手金1000万円,ⅱ市場調査結果報告時に中間金1000万円,ⅲマンション建築確認申請書が提出され受理された時に残額1000万円に分けて支払う。
という業務委託契約を結び,A社はB社に着手金1000万円を支払いました。
2 B社の市場調査報告書の不正確性
⑴ その後,B社は,マンションの市場調査報告書を持参してきたので,A社は中間金1000万円を支払いました(この時点で合計2000万円の支払)が,その報告書を子細に検討すると,不審に思えるものが多く,B社に調査方法を質問すると,言辞不明確であるだけでなく,報告書の中に書かれた,建築資材の調達価格が,A社が認識している価格とかなりの乖離があることが分かりました。
A社にとって,マンション分譲事業は初めてではありましたが,建築業者であることから,建築資材の価格動向は知っているので,その点に関するB社の報告書の間違いはすぐ分かったのです。
⑵ A社の指摘に対し,B社は,建築資材の価格に関する調査報告書の間違いを認め,調査報告書の訂正書を持参してきましたが,A社がその内容を厳しい目で調べていくと,他にも2,3間違った記載を発見したのです。
3 業務委託契約の解除通知
かくして,A社は,B社を信用できなくなり,前述の業務委託契約を解除することにし,B社に通知しました。
4 争い生ず
A社はB社の債務不履行を理由に解除したので,既払の2000万円の返還を請求し,
B社は,A社の解除は,理由がなく,残報酬1000万円の支払を請求するということになり,調停にまでなりました。
その後,この件は,B社からA社に,一定額の支払いをし,解決しましたが,この金額は,決してA社の満足いくものではありませんでした。。
5 ケーススタディ
このケースから,本件業務委託契約の問題点を指摘していきたいと思います。
(以下,明日のコラムに続く。)