自治体がする契約 14 単年度主義と長期継続契約
廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成22年法律第34号)等が平成23年4月1日より施行される直前,国(環境省)は,従前の通達を廃止して,環廃産発第1303299号(平成25年3月29日)通達による 新たな「行政処分の指針について(通知)」を発して,自治体のする産廃物行政の弱腰を大いに叱りました。
すなわち,国は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律の累次の改正により,自治体に,廃棄物行政の強化を求めているのに,一部の自治体においては、無許可業者や一部の悪質な許可業者による不適正処理に対し、有効な手を打っていない現状にあること,そのため,大規模不法投棄事案を発生させ、廃棄物処理及び廃棄物行政に対する国民の不信を招いたこと,今後自治体は,廃棄物行政においては,違反行為者に対して,次のような強い措置をとることを求めているのです。
1 迅速な行政処分
自治体は,違反行為に対しては,行政指導ではなく,行政処分を行い,原状回復措置を講ずるよう命ずること,それに,命令に従わない場合には命令違反として積極的に告発を行い,捜査機関と連携しつつ、産業廃棄物処理業等の許可を速やかに取り消すこと。
2 行政指導について
行政指導は、行政処分の要件ではないことを自覚し,行政指導抜きで,緊急の場合及び必要な場合には躊躇することなく行政処分を行うなど、違反行為に対しては厳正に対処すること。
3 刑事処分との関係について
違反行為が客観的に明らかであるにもかかわらず、公訴が提起されていることを理由に行政処分を留保する事例が見受けられるが、これは不適当であること。
むしろ、違反行為に対して公訴が提起されているにもかかわらず、廃棄物の適正処理について指導、監督を行うべき行政が何ら処分を行わないとすることは、法の趣旨に反し、廃棄物行政に対する国民の不信を招きかねないものであるので,自治体は,いたずらに刑事処分を待つことなく、速やかに行政処分を行うこと。
4 事実認定について
(1) 違反行為の事実認定について
違反行為は客観的に認定すれば足りるものであって、行為者の主観的意思などが不明であることを理由に行政処分を留保すべきでないこと。
事実認定を行う上では、法に基づく立入検査、報告徴収又は関係行政機関への照会等を積極的に活用し、事実関係を把握すること。
(2) 廃棄物該当性の判断について
廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること(最高裁判所平成11.3.10第二小法廷決定)。
再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物は,それ自体産廃物であるから,当該物の再生は廃棄物の処理であり、法の適用があるので,国の基準によって有価物と認められない物はすべて廃棄物として扱うこと。
などが,強調されています。
上記通達は,国が,自治体の弱腰行政に怒りを発したような,通達です。
国と一部の地自体の間にみられる,考え方の違いというか,態度の違いに,大きな差がみられる例として紹介いたします。