賢い事業承継の手順 7 除外合意や固定合意を結ぶ際に結べる他の合意も利用した遺留分対策が可能
事業の承継者は,何を承継したいのか?いつ承継したいのか?事業の承継をするにふさわしい実力の涵養は,どのようにしてするのか?を明確に意識することは重要です。
そして,経営者が期待する実力の涵養に努めるべきです。
父である経営者が,後継者として,娘の夫をと,考え,後継者兼娘の夫探しをする場合,特に,このことは重要になります。
経営者の思うところと、後継者予定者の思うところについて、その意思を通じさせていなかったばかりに,まだ実力も十分でない娘婿が,現役で働いている岳父に対し,経営権の譲渡を要求して,岳父からは取締役の解任を,娘からは離婚を,通告された例もあるところです。
会社の後継者にならんとする者は,会社に入った時,その立ち位置を自覚するべきでしょう。また,経営者が,後継者に,何を求めているかを,考えるべきでしょう。
通常,会社経営者は,娘婿を,後継者候補だからといって,甘やかす意思はないと考えておかなければなりません。
ところが,往々にして,娘婿は,後継者になることが既得権でもあるように考え,実力を超える待遇を求めるという、甘えを露呈することもあるのです。
岳父が,娘婿の態度を見て,困った奴だと、大きくため息をついている傍らで,娘婿は,自分の甘えが十分に満たされない不満を,岳父への反発など、態度で示し,会社内が,ガタガタするということもあるのです。
立ち位置を知り,実力を知り,会社内における後継者予定者に対する回りの目を自覚し、実力を高める努力をすることが,娘婿に限らず,事業の承継者には,求められるのです。