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店舗を賃借する場合の借主の留意点

菊池捷男

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テーマ:契約書


 当社は,新たに出店しようとする店の所有者と賃貸借契約の締結交渉をしていますが,賃貸借契約を結ぶにあたって,留意すべきことは何ですか?

A 
①中途解約権を認めてもらうことと,➁建物明渡し時点での原状回復工事の内容を明確にすることです。
1 中途解約条項を設ける必要
通常,建物の賃貸借契約を結ぶ際,契約期間を定めますが,契約期間を定めた場合,借主は,特約がない限り中途解約をすることはできません(民法618条)。
 ですから,賃貸借契約を結び,営業を始めたものの,利益が出ず,退店する必要に迫られた場合に,中途解約ができないとなると,予想外の出費(残存賃貸借契約期間内に支払わなければならない賃料額の総額)が,会社経営の足かせになる場合があります。
そのような事態は,常に計算にいれて賃貸借契約を結ばなければなりませんので,長期にわたる店舗賃貸借契約を結ぶ場合は,必ず,中途解約条項を入れるべきです。

2 中途解約条項の例

第○条 借主は,本契約期間内であっても,○か月前までに貸主に対し,書面で通知することにより本契約を解除することができる。
2 借主が,前項により本賃貸借契約を解除した場合は,貸主に対し,○年間の賃料相当額を違約金として支払わなければならない。
  
3 中途解約条項を設けない場合の貸主のための条項
前述のように,中途解約条項を設けない場合は,民法618条により,賃貸借契約を期間の中途で解除することはできませんが,借主から誤解を招かないよう,

第○○条 借主は,契約期間中,本契約を解約することはできない。
という条項を設けておくとよいでしょう。

参照
民法第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても,その一方又は双方がその期間内に解約する権利を留保したときは,前条の規定を準用する。
註:前条の規定というのは,期間の定めのない賃貸借は,いつでも解約することができる(建物賃貸借契約の場合は,その意思表示があったときから3か月が経過すると賃貸借契約は終了する。)という規定のこと。

➁の原状回復条項については,別の機会に解説します。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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