自筆遺言証書で指印は有効とせられた判例
質問
私には,軽い認知症にかかった母がいます。これからは,その世話をする予定です。そのため,母は,私に全財産を相続させると書いた遺言書を書く,と言ってくれています。しかし,母に遺言書を書いてもらっても,後で,兄が,それは無効だと言ってきた場合が心配です。何か,アドバイスを頂けますか?
回答
1 遺言書の作成+委任契約及び任意後見契約締結
あなたの心配を解消する方法は,現時点で,①お母様に遺言書を書いてもらうこと,➁お母様に意思能力がある間はお母様の代理人として,お母様の意思能力がなくなった後は任意後見人として,それぞれ,お母様の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行う契約を結ぶことです。
2 遺言能力を証明できる手段を講じる
お母様に遺言書を書いてもらっても,将来,お兄様から,お母様が書いた遺言書は,お母様に遺言能力がない時に書いたものであるので無効だ,と言われ,争いになるおそれがありますので,その争いを起こさせないため,また,起きたときはお母様の遺言能力があったことの証拠にするため,医師にお母様には遺言能力のあることの証明書を書いてもらって遺言書を書いてもらう,又はお母様が遺言書を書く様子をビデオカメラで撮影(お母様に遺言書の内容を語ってもらうことも必要)して後日の証拠として保存するなど,遺言能力を証明できる手段を講じておくべきです。
3 財産管理等の委任契約及び任意後見契約の方法
これは一通の契約でできます。契約締結の方法は公正証書によります。契約のサンプルは,インターネットで検索すれば出てきます。
4 目的の達成
以上をすれば,お母様が存命中,その意思能力がある間は代理人として,意思能力がなくなったときは任意後見人として,お母様の財産管理はすべてできます。契約で不動産の処分権が付与されている場合は,不動産の処分すらできます。
そして,お母様が亡くなられた時は,お母様の財産は全部あなたが相続することになります。