契約書知識 16 契約書の表記は公用文表記法による
2014年1月6日付けのコラム「契約知識15」の「契約書の記載事項⑵」の契約書の書き方は,横書きの条例(例えば,兵庫県県民ボランタリー活動の促進に関する条例)に倣った書き方をしたのですが,法律(縦書き)を横書きにした書き方をすれば,下記のようになります。
その違いは,横書き条例の場合は,見出しや,項番号の後に1字句を空けて(■),文を書き始めますが,法律はこれらを空けていないことです。
以下は,法律を横書きに書いたのと同じ書き方の説明です。
・契約書の内容は、通常、「条」と「項」と「号」に分けて書かれます。
・「条」と「条」はそれぞれ独立した文ですが、「項」は、1つの文(条)を分割して書く場合に設けられます。したがって、条が1つの文で完結する場合は「項」は設けられません。そのため、項のない条の文は1つです。
・「項」は「条」を分割して書くときに設けられますので、項がある条の項は最低2つあることになります。この場合、最初の項は第1項になりますが、項番号の「1」は書かないことになっています。
・見出し
条には、多くの場合、見出しを書いています。見出しはかっこ書きで書かれますが、行の最初から書きます。複数の条の見出しが同じ文になる場合は、最初の条に見出しを書くだけで、後の条には見出しを書きません。この場合の見出しは「共通見出し」といわれます。
・契約書の本文を書く位置
本文は,行の最初に第何条と書き,その後、一文字空けて書き始めます。下記の参考契約書式に書いた■は空白部分を意味します。
・次の行は最初の1文字を空け2文字目から書きます。
・条を項に分けたときの第1項も、項に分けない場合の条の書き方と同じです。
・条を項に分けたときの第2項以下の項番号は、行の最初の文字から2、3・・・と書き(1の項番号は書かない)、文は項番号の後すぐに書かれます。次の行は最初の1文字は空け2文字目から書かれます。
・「条」又は「項」の中に「号」を設ける場合、号の番号は(1)(2)(3)を用い、その位置は第二文字目から(項番号より1文字右)になります。号は、例えば期限の喪失約款における期限の喪失事由にように、同じような性質をもつものを列挙するときに書くものです。
なお、号を書く場合の、本文の部分は「柱書」(はしらがき)といいます。
・条又は項の文が,本文と「ただし書」の2文からなるものがあります。ただし書は,改行しないで書くことになっています。
【参考 法律を横書きにしたのと同じ,契約書の書き方】
(目的)・・・・・・・・・・・「見出しは,行の最初から括弧書きで書く。
第1条■・・・・・・・・・・1行目の本文は「条」の文字の後、1字空けて書き始める。
■・・・・・・・・・・・・ 2行目以下は最初の1字を空けて書く。
(・・・)
第2条■・・・・・・・・・・・
■・・・・・・・・・・・・・
2・・・・・・・・・ 2項以下の項の文は行の最初に項番号を書き,その直後から書き始める。
(・・・)
第3条■・・・・・・・・・ 柱書
■・・・・・・・
■(1)■・・・・・・・・ 号番号は行の最初の1字を空けて2字目に書く。本文は1文字空けて書く。
■(2)■・・・・・・・・
■(3)■・・・・・・・・
【参考 横書き条例と同じ書き方をした,契約書の書き方】
■(目的)・・・・・・・・・・・「見出しは,行の2字目からから括弧書きで書く。
第1条■・・・・・・・・・・1行目の本文は「条」の文字の後、1字空けて書き始める。
■・・・・・・・・・・・・ 2行目以下は最初の1字を空けて書く。
■(・・・)
第2条■・・・・・・・・・・・
■・・・・・・・・・・・・・
2■・・・・・・・・・ 2項以下は,行の最初に項番号を書き,その直後はスペース■を設け,その後から文を書き始める。
(・・・)
第3条■・・・・・・・・・ 柱書
■・・・・・・・
■(1)■・・・・・・・・ 号番号は行の最初の1字を空けて2字目に書く。本文は1文字空けて書く。
■(2)■・・・・・・・・
■(3)■・・・・・・・・
なお、柱書の後には、複数の号が列記されますが、これらは総称して「各号列記」と言われます。